あるファーストフード店で起きたホームレスの女性との事件。それを見た男性がとった行動は?
私たちが生活している中で多くの人は、街にいるホームレスを無視しています。中には小銭を差し出している人もいるかもしれないが、ホームレスと時間をかけて会話をする人は稀でしょう。イギリスに住むある男性は、その夜自分の価値観を変えるような衝撃的な出来事に出会しました。
日本ではなかなか起こらないことかもしれませんが、この出来事を通してあなたも何かを考え直すことにつながるかもしれません。一体、何が起こったと言うのでしょうか?
ジョナソン・ペンジェリーの紹介
後ろ向きの帽子をかぶり、とぼけた笑みを浮かべているのが、ジョナソン・ペンジェリー。多くの若者がそうであるように、彼も友人と出掛けるのを楽しむ普通の青年でした。
彼の毎日は、友人と遊び、ゲームをして、食事をして、ダンスをして......の繰り返し。そんな代わり映えのない毎日が、この夜起こったことによって一変します。ほとんどの大人が経験したことのないような夜になったのです。そう、誰かがジョナソンの人生に大きな影響を与えようとしていたのです。
その日の夜はもうほとんど終わりに差し掛かっていた
夜遊びをしたことがある人なら、一度は経験したことがあるだろうが、一晩遊び回ると明け方に無性にお腹が空きます。大量のお酒を流しこみ、遅くまで起きて動き回ると、体は疲れているはずなのに、なぜかお腹が空いてくるのです。しかし、深夜帯に空いているレストランなんて限られています。
その日のジョナソンは正にそのような状況でした。そこで、彼の友人とあるファストフード店でハンバーガーを食べることにしました。ここは、安くて早くて、時間を潰すのにももってこいの場所です。
いつもとは違う様子の店内
多くのファストフード店は、普通のレストランよりも遅くまで営業しています。これには、大きな理由が2つあります。一つは、遅くまで食べる時間がない人々に選択肢を与えること、もう一つは、一晩中夜遊びをしていた彼らの待機場所として提供することで利益を得ることです。
特に週末の夜になると、予想通り多くの人がそこにたむろしている。ジョナソンが見つけた店も例外ではなかった。しかし、混んでいたからといって行列ができるほどではなかったのだ。
ホームレスの女性がレジ前にいた
ジョナソンは、店に入ってすぐに前の方で何かが起きているのに気がつきました。女性が何かを注文しようとしていましたが、レジ係はそれを拒否しているのです。その並んでいた女性はホームレスのように見えたので、ジョナソンは彼女が食事をしようとしているのではないかと推測しました。
彼は、レジ係が彼女を無視する理由があるとすれば一つだけだと考えました。おそらくその女性は、自分の持っているお金が買いたいものより足りないのではないかと。並んでいる他の人たちと同じように、ジョナソンは、彼女が何を言われているのかを聞くために身を乗り出しました。
彼女はお水が欲しかっただけだった
ジョナソンが話を聞いているうちに、ホームレスの女性は、水を欲しがっていることがわかりました。そして、それを拒否するレジ係は、最初から女性の話を聞くような素振りも見せていないように見えました。
女性は、最終的に何ももらえず、カウンターを去りました。そして、また外の寒さの中に戻っていくようでした。この場面に出会したジョナソンは、いても経ってもいられず、寒さの中、彼女の後を追いかけました。
彼女のために何ができるだろうか?
ジョナソンは、女性に近づき、何か欲しいものはないかと尋ねました。この時、冗談で「100万ドル」と答える人もいるでしょう。しかし、ほとんどのホームレスの人々は、その夜をいかに乗り切るかで必要なものを考えています。
ジョナソンがその夜、最も衝撃を受けたのは、彼女の反応でした。彼は、この女性はおそらくたくさんの要求をしてくるだろうと予想していました。もしくは、レジでの様子を見て声をかけてきた彼に悪態をついてくるかもしれないとも思いました。しかし、そんな彼の考えはとても浅はかだったのです。
フライドポテトはいる?
ホームレスの女性は、ジョナソンにチーズバーガーを一つ頼みました。しかし、きっとチーズバーガー1個以外にも何か欲しいものがあるに違いないと考えたジョナソンは、再度他に何か欲しいものがあるかどうかを尋ねました。
ホームレスの女性は、”私ではなく何か食べるものを必要としている友人がいる”と答えました。この彼女の答え方と謙虚さに心を打たれ、ジョナソンは、ホームレスの女性たちのために、どうにか素敵な夜にしようと決意して、ファストフード店に戻りました。彼は、彼女が自分を驚かせたように、この女性を驚かせようと思ったのです。
ごちそうパーティー
ジョナソンとその友人たちは、それぞれ自分たちが運べるだけの食べ物や飲み物を買いました。安価な商品の多いその店では、2人のホームレスの女性の生活に影響を与えるために支払う代償に迷いなんてありませんでした。
彼らはホームレスの女性に食べ物を渡し、歩道で彼女たちと一緒に食事をしました。家族と一緒に食事をするように、友人グループとホームレスの新しい仲間たちは、山のように積まれた食べ物を囲んで食事をしたのです。そして、女性たちは何気なく自分たちの話をし始めました。
親切心を忘れかけていた
話しているうちに、ファストフードの店内で追い返された女性の名前がポリーであることがわかりました。彼女は何年もホームレスとして路上生活をしていました。彼女は、人々がいかに思いやりのない人間であるかを説明しました。
彼女と彼女の友人が最も苦痛だったのは、お金を恵んでくれないことではありませんでした。一部の人々は、彼らが歩いているとあざ笑ったり、からかったりしてくることでした。これらの行動が彼女たちの気持ちを荒ませていったのです。
ホームレスの女性は強い女性だった
ホームレスについてよくある誤解は、ホームレスはみんな怠け者で頭が悪いと思われてしまいがちなことです。しかし、実際には、ジョナソンと彼の友人たちが発見したように、ホームレスの問題は、もっと複雑なのです。
彼は「彼らと話をして、私は純粋に彼らがどのように教育を受けていたかに感銘を受けました。彼女たちの人生は、熱意に満ちていて、何も持っていない訳ではありませんでした」 彼女たちが、路上に降り立った理由が何であれ、彼女たちの内面はそう簡単には変わらなかったのです。
彼は、彼女たちを家に招き入れた
知らない人を家に招き入れることは、危険であまり気が進まないことだが、ジョナソンと彼の友人たちは、その行為に同意しました。彼らはポリーと彼女の友人に、気分転換に家に来ないかと尋ねたのです。
何年も路上生活をしていると、家がどんなだったかも思い出すのが難しくなるようです。暖かさや明るさ、そして私たちの多くが当たり前と思っている基本的な便利さは、ホームレスになった人にとっては、失われたものなのです。この提案に、ポリーとその女性も同意しました。
清潔になることができた
ジョナソンの家に到着した女性たちは、久しぶりにきちんとした浴室を使うことができました。歯を磨き、シャワーを浴びて、ようやく新鮮で清潔な体を手に入れて、爽快な気持ちになることができたのです。
ホームレスを「他人事」と見なしてしまう原因の一つに、彼らの外見が関係しているでしょう。衛生的な面で嫌悪感が募り、通行人にとっては無視されやすい存在になってしまうのです。ポリーと彼女の友人に衛生面をプレゼントすることで、ジョナソンは彼らの内面の美しさをより引き出すことができました。
袋に食べ物をたくさんつめて
女性たちが体を洗っている間、ジョナソンは彼女たちが家に持ち帰るための食べ物を用意していました。ホームレスにお金を渡すのは良くないという意見もありますが、それは彼らが何に使うか分からないからです。だからこそ、お金の代わりに何か食べ物を与えることの方が彼らを本当の意味で助けることができるのかもしれません。
ジョナソンは、すでにポリーとその友人のために多くの手助けを申し出ていたが、一回分の食事と衛生面での手助けだけでなく、その後も満腹感が得られるように、試行錯誤し様々なものを提供しました。
サヨナラの時
これは、ジョナソンとポリーが出会った夜の写真です。彼女の温かい笑顔から、ジョナソンへの感謝の気持ちが伝わってきます。また、彼の表情からも、この女性たちが彼に大きな影響を与えたことがわかります。
ポリーたちに暖かい毛布や枕を用意してあげたり、缶詰などの食べ物を手渡したりと、その人情味あふれる行動は、ポリーたちの心を揺さぶりました。真の人情あふれる行為は、女性たちを充電させ、以前よりも明るい気分にさせてくれました。
Facebookへの投稿
ポリーと彼女の友人との楽しい時間の後、ジョナソンは根本的に彼女たちを助けることができるのではないかと感じました。彼はあの夜起きたことをFacebookに投稿し、カウンターの女性が水を差し出すことも拒否していたことを綴りました。
彼は、”あの日、レジ係の心の中で何が起きていたのかわからないが、たくさんの社会貢献をしている店が、あのような対応をしていたのを見るのはとても悲しい”と投稿したのだった。
一連の出来事が話題に
ジョナソンの熱意のこもった投稿は、多くの人の興味関心を集めました。この反応に対して、店側がどのように対応するのか、彼らは時を持つしかありませんでした。
ホームレスの人に向かって悪態をつく場面を目撃した人は、何もジョナソンだけではありませんでした。この話を読んで、同じような体験をした人が賛同し、大騒ぎを始め、記者たちの注目を集めることまでになったのです。
店側も毅然とした対応を見せた
この話は非常に大きな話題となり、記者たちは物議を醸した問題をめぐって店側の反応を待ったのでした。同社の広報担当者は、ホームレスを差別する方針はないと断言しました。
彼女によると、ホームレスはどの店舗に入っても他の客と変わりのない対応を受けていると言う。水のリクエストに関しては、「大部分」は対応しているという。彼女の回答では、水を要求してきた全ての人に渡すことが彼らのポリシーの一部であるとは述べていないが、ホームレスであることを理由に個人を追い出すことはポリシーではないと明記されていました。
ポリーは、以前に入店禁止にされていた
結局のところ、レジ係にはポリーへのサービスを拒否する正当な理由がありました。彼女は、ジョナソンには謙虚な態度をしていたのですが、実は警察の認可を受けたリストに彼女は載っており、その店への出入りが以前より禁止されていることがわかりました。
広報担当者は続けて、同店とウェールズのカーディフにある他の店舗は、警察と協力して「違法で反社会的な行動」を理由に特定の個人を出入り禁止にしていると述べました。言い換えれば、ポリーの出入り禁止の理由は、彼女が法律を破ったか、レストランの人々に迷惑をかけるようなことをしたからだと思われます。
なんかすっきりしない
店の広報担当者は、ポリーに水を提供することを拒否したのは彼女自身の責任であり、同社の責任ではないと述べたが、同社の対応はあまりにも曖昧で、確かなことを知るには不十分であったのは確かでした。彼らは記者たちに、ポリーがどのような理由で禁止に値する行為をしたのかについて十分な説明をしなかったので、判断ができない状況だったのです。
経済的に厳しく苦しんでいる人々の人間性を見てきた人たちの中には、これらの個人を支援するために戦う人もいます。すべての市民は平等な権利を与えられていますが、中には差別や不平等な対応を受けている人もいます。
ステレオタイプを避けるために
ポリーが正当に店から出入り禁止になったかどうかは別にしても、ジョナソンとの出会いは、ホームレスの人たちがみんな同じではないということを気づかせてくれる重要な出来事であったのは確かでした。ジョナソンがポリーは、この経験を通して、彼らが謙虚で知的な人間ではないと勝手に思い込んでいたことに気づかされました。
もし私たちが、どんなホームレスであっても、その人たちの置かれた状況によって、可能性に満ちているかもしれないという事実を考えれば、私たちは彼らを疫病のように避けようとする気持ちが薄れるかもしれません。食べ物でも、毛布でも、水でも、何でも必要としている人を助けることができるのです。