動物園から保護されたオオヤマネコは今では立派な家猫である
おそらくあなたは、自分のことを大の猫好きだと思っているかもしれません。しかし、マリヤとアレクサンダーに比べれば、その考えは、浅はかだったと思い直す事になるでしょう。彼らはただ単に、家で猫を世話しているわけではありません。"メッシ"という生まれながらに体が弱く、今にも死にそうだったオオヤマネコのお世話をしているのです。
メッシとは、あなたが想像するような恐ろしい野生動物ではなく、あなたが今まで見てきた中で、一番可愛いと思える猫になること間違いなしです。
産まれてたった3ヶ月で病気になったメッシ
メッシは、ロシアのペンザにあるサランスク動物園でクーガーが産んだ3匹のうちの一匹でした。メッシとその兄弟達のスアレスとネイマールは皆、ワールドカップを主催するロシアに敬意を払い、有名なサッカー選手達の名前にちなんで付けられました。
不運にも、メッシは産まれてから3ヶ月の時、健康状態があまり良くないことが分かったので、サランスク動物園では、メッシが回復するように最善を尽くしていましたが、動物園ではなく、他の誰かに世話してもらうことも視野に入れていました。
大きな猫を飼うことがアレクサンダーの夢だった
メッシの運命は、彼が8ヶ月の時、マリヤとアレクサンダーが動物園を訪れたことによって、劇的に変化することとなります。マリヤによると、アレクサンダーは、大きな猫を飼うことをいつも夢に見ていたそうです。そして、その時はついに訪れたのです。
彼らは、もし大きな猫を飼うなら、それはおそらくオオヤマネコになるだろうと思っていました。だからこそ、メッシが病気になり、動物園が手放そうとしていたその時、彼らはすぐさま、自分たちに世話をさせてくれるように交渉をし始めました。
ついにメッシを家に連れて帰ることに
マリヤとアレクサンダーは、動物園側が彼らの交渉に応じてくれた時、素直に驚きました。メッシを世話することは、並大抵の覚悟ではできないことはわかっていましたが、まずは健康状態を回復させることが最優先事項だったので、ただ必死に世話をし始めました。
メッシは、野生動物である以前に、体が非常に弱く、最初の数ヶ月は常に注意を払うことが必要だったと、マリヤは話しています。完全な健康状態に戻った後も、彼は他のオオヤマネコに比べて3分の2程の大きさにしか成長していませんでした。
一難去ってまた一難
メッシの健康状態が回復した頃、マリヤとアレクサンダーは、飼い猫として、野生のオオヤマネコを飼育するという課題に直面しなければなりませんでした。彼らはメッシに、飼い猫としての習慣を覚えさせるため、野生のトレーナーに力を借りられないか頼みましたが、誰一人として賛同してくれる者は現れませんでした。
彼ら夫婦は、1LDKの狭いアパートに住んでいましたが、それでも、メッシが快適に過ごせるように工夫を凝らしました。メッシが、階段を登ったり、木で爪とぎができるように廊下を改良したりしました。
飼い犬を手名付けるかのように
やがて夫婦は、メッシが参加することのできる犬のトレーニングスクールを見つけました。オオヤマネコのメッシは、まるで飼い犬かのように10個もの支持を理解することができるようになったのです。またメッシは、動き回ることも大好きです。
動物園で保護されてる時は、全くと言っていい程、活動的ではありませんでしたが、夫婦が特注で作ったハーネスとコートによって、メッシは散歩にも行けるようになりました。今では、1日に2回、1時間ずつ歩くことがメッシの日課になっています。
野生のオオヤマネコを飼うのには賛否両論
マリヤとアレクサンダーが、メッシは優しく、普通の飼い犬や飼い猫と変わらないと主張していても、もちろんそれに反対する動物活動家もいます。彼らの多くは、メッシを野生に還すべきだと主張していますが、他の動物もいる中で、メッシが生き抜くことは非常に困難であると夫婦は主張します。
また他の活動家の中には、メッシはどんなに穏やかであっても、野生動物本来の習性を持っていることを忘れてはならないと言います。今のところ、メッシは、ロシアの中で最も甘やかされている飼い猫として、夫婦に順調に育てられています。
メッシを飼うことは違法か?
メッシを飼い猫として育てるのに否定的な動物活動家の中には、マリヤとアレクサンダーが行っていることは、違法なのではないかと問う者もいます。「野生」と見なされる動物を個人的に所有することに厳しい国もありますが、ロシアの法律では、かなり限られた場合にのみです。
ロシアの唯一の法律は、野生動物に対し、殺したり、傷つけたりした場合のために適用されます。つまりは、マリヤとアレクサンダーがしていることは、なんら法に反してはいないのです。マイク・タイソンが飼っていた虎だって、決して法を欺いてなんかいなかったのです。
SNSで話題に
メッシを巡る論争が話題になればなるほど、メッシのファンも増えていきました。マリヤとアレクサンダーは、家にメッシを連れて帰ったと同時に、InstagramとYouTubeのアカウントを作りました。そして、2019年の5月時点で、メッシのInstagramのフォロワー数は944,000人にも上り、YouTubeのチャンネル登録者数は、345,000人にも及びました。
彼らのYouTubeにアクセスすると、メッシとアレクサンダーが一緒にビデオに登場しているところを見ることができます。中には、どうやってお風呂に入れるのか解説されているビデオなんかもあります。
大の医者嫌い
メッシは、既に2歳を過ぎていますが、幼少期からの深刻な健康状態の不安が、完全に取り除かれた訳ではありません。特に、子猫時代に放置されていた筋肉が萎縮する病気については、今も治療をし続けなければなりません。
メッシは、骨を健康に保つために特定のミネラルとビタミン剤を摂取しています。治療を続けていてもまだ、彼は足を引きずって歩くので、今でも何度かは獣医に通う必要があります。
メッシという名前により..
メッシという名前はそもそも、アルゼンチンのサッカー選手であるリオネル・メッシにちなんで名付けられましたが、マリヤもアレクサンダーも、サッカーについて特段興味があったわけではありません。ロイター通信からのインタビューの時、彼らは、「サッカーファンではない」と公言していましたが、それは後に変わることとなるのです。
アレクサンダーは、「オオヤマネコのメッシが我が家にいる今、一緒にサッカーを観戦し、同じ名前のメッシ選手がいるアルゼンチンチームを応援します。」と話します。オオヤマネコがメッシと名付けられたおかげで、アルゼンチンチームは、ロシアから2人のファンを得ることになったのです。
健康と幸せにかかる費用
ペットを飼っている家では、年間平均約1,285ドルかかると言われています。これはアメリカ人だけでも、全体で毎年700億ドルをペットに費やしていることになります。しかし、メッシをお世話するのには、もっと高い費用がかかります。彼の食事は、生の七面鳥や牛肉、鶏肉を1日に2回づつ食べます。
彼らは、メッシを養うために毎月約2万〜4万ルーブル払っています。これは、食べ物だけで300ドルから400ドルに相当することを指します。この費用は、高価な医療代などは含まれていません。
自分自身の姿で楽しむメッシ
マリヤとアレクサンダーは、メッシがいかにこの1LDKのアパートを自分の家として快適に過ごせるようになるか努力しました。メッシのお気に入りのおもちゃは、小さなサッカーボールと空のペットボトルです。小さなサッカーボールは、ブラジルのジャーナリストからお土産にもらったものです。
メッシのために特別に作られたクライミング・ヌックは、メッシが自分の姿を見て楽しむことが出来るように、一部、壁が鏡で覆われています。ディズニー映画ムーランの「Reflection」が再生されている間、ミラーリングされた壁の横に座り、メッシは物思いにふけっています。
犬のトレーニングスクールの効果
少しおかしく聞こえるかもしれませんが、マリヤとアレクサンダーが連れて行った犬のトレーニングスクールは、かなり効果がありました。メッシは、10個もの指示を覚え、リストにあった指示内容も日に日に習得していったのです。ハーネスを付けて歩くことも完璧に出来たし、滅多に紐を引っ張って困らせることもありませんでした。
メッシは、自分のトレーニングが上手く行っているだけではなく、同じクラスの他の犬達とも、仲良くなりました。特に、家の近くに住んでいる犬達は皆、メッシの好き嫌いを把握しており、一緒に訓練することに何の問題もありませんでした。
スクール以外でのトレーニング強化
メッシは、トレーニングスクールでの訓練だけではなく、マリヤとアレクサンダーとの訓練も順調に進めていきました。彼らの訓練の多くは、散歩や小旅行に連れ出す時に行います。
また、散歩などをしない時は、お風呂場でお行儀よく座っていられるように訓練を繰り返したりしました。
一緒に眠るのは至福のひととき
家に連れて来た当初、メッシは、落ち着いてはいましたが、決して特別な愛情表現を、彼ら夫婦に対して示すわけでもありませんでした。長い月日をかけて、彼らを家族として認識し、今では、まるで室内犬のように彼ら夫婦に家族の一員として馴染んでいます。
特にメッシは、撫でてもらったり、耳の後ろを掻いてもらうのが大好きです。彼には専用の特別なベッドもありますが、アレクサンダーのベッドで一緒に横になることが何よりもお気に入りです。その時、決して、爪を出してベットに飛び込まないようにすることも日々の訓練で覚えました。
大きな猫を飼うことでの生活制限
もちろん、メッシのような大きなオオヤマネコを家の中でお世話することは、マリヤとアレクサンダーの生活にもある程度の制限がかかってきます。今のところ、休日の唯一の選択肢というと、車で足を伸ばせる範囲に出かけることがのみです。これはただ、メッシが泊まることのできるホテルを探すことが困難だからと言う理由だけではないのです。
また、アレクサンダーは、町の印刷会社で働いていますが、メッシと散歩に毎日いく必要がある今、もう長らく同僚と仕事帰りに飲みに行ったりしていません。これらは、おそらくただ犬や猫を飼うだけではあまり起こりえない問題でしょう。
メッシが苦手なもの
穏やかで、人にも決して噛み付いたりはしないメッシですが、そんな彼でも苦手なものがあります。それは、自分より大きく、なにかおかしな鳴き声を出す動物です。
マリヤとアレクサンダーが、牧場に連れて行き、牛を見せた時、それは明らかになりました。メッシは幸い、牛に襲いかかったりはしませんでしたが、ただじっと牧場の柵の外から、彼らが立ち去るのを待っていました。
他の猫との相性
彼ら夫婦には、既に6歳になる「キラ」と言う名のスフィンクスの猫がいましたが、メッシは、その猫ともあまり仲良くなれませんでした。2匹を会わせようとしたところ、キラは、メッシに噛み付こうとしたのです。
その状況の後からは、2匹の猫をあまり接触させないようにしています。
自分が特別だと言うことに気づいていない
彼ら夫婦は、メッシ自身が飼い猫として、室内で飼われると言う特別な状況を自然に受け入れてくれたことにとても感謝しています。マリヤは、「神様、ありがとう。メッシは自分がこの地球上のスターだと言うことに気が付いていないわ。もし、気が付いてしまったら、きっともっと傲慢になるものだもの。」と話します。
メッシは、特別な扱いを受けないことに何の問題もなく、飼い主が猫のキラと戯れていても決してそれに嫉妬することもありません。オオヤマネコを飼うということは、既にかなりの無理難題でもありましたが、メッシが特別扱いを要求せず、自然と順応してくれたことが彼らの励みにもなりました。
彼らの夢はメッシだけでは終わらない
おそらくあなたは、オオヤマネコのメッシとスフィンクスのキラで、マリヤとアレクサンダーはもう充分満足なのではないかと思うでしょう。しかしながら、彼らは更にもっと猫を増やしたいと考えています。彼らは近い将来、大きな家に引越し、猫達のためにもっと場所を確保したいと考えています。
そして今度は、ヒョウを家に招き入れ、メッシと一緒に育てていきたいと思っています。新たに大きな猫を迎え入れた場合、また大きな論争を起こす可能性がありそうですが、彼ら夫婦は、決してその事だけに目を奪われず、いかにメッシが、幸福で最良の人生を過ごすことができるのかに尽力していきたいと考えています。
シエラの救出
2009年の7月に、シエラは、アメリカのUSDAによって、救出されたライオンのうちの一匹です。その年に救出された多くのライオンが、良くない状態にありましたが、特に、シエラはその中でも深刻な状態にありました。シエラは、大幅に体重が落ちていて、衰弱して弱っていました。彼女を助けたレスキュー隊員たちもシエラがあまり長くないと思っていましたが、最後の望みをかけて救出したのでした。少なくとも、できる限りの処置を施してやりたかったのです。
シエラの体調不良の原因
シエラは、テキサスのエンターテインメントセンターから救出されました。彼女は、高価なパーティーやイベントでオーナーに多大な利益をもたらしました。シエラが、そのエンターテインメントセンターの唯一のライオンではなかったものの、彼女は、もっとも良く働き、そしてこき使われたライオンでした。彼女の飼育員は、特にライオンに対してひどい仕打ちをしました。In-Sync団体の創立者であるキーヘイは、"一度、その動物が役に立たないと判断すると、端に追いやり、世話をしなくなるそうです”。と言っています。
囚われの生活
悲しいことに、シエラは、テキサスで彼女の生活のほとんどを囚われの身として送りました。彼女は、小さなライオンであったころから、ずっと働かされていました。初めは、ペットとして生活し、写真を撮られるようになり、その後は、エンターテインメントの世界で働き続けました。シエラは、屋内でこき使われていた野生動物で、そのせいで、体と健康に大きな代価を払わなければなりませんでした。
安全な環境
シエラは、筋肉のバランスに問題がありました。すぐに、彼女は自分で立ち上がることもできなくなりました。レスキュー隊員たちは、彼女の筋肉が弱っており、そのために、歩くことすらままなくなっているということを理解しました。シエラは、食べたり、水を飲んだりするのに頭をあげるのにも苦労していました。シエラは、全く食欲もなく、生きる気力すらなさそうでした。
そんなに稀ではない
不幸なことに、シエラのケースは、そんなに珍しいことではありません。動物は、エンターテインメントの理由で盗まれることは頻繁に起こっています。有名なのが、ブラックフィッシュというドキュメンタリーで、漁師が、海から赤ちゃんクジラを盗み、シーワールドなどに売ってお金儲けをしているのです。その多くの動物は、適切に飼育されず、よく短命に終わることが多く、虐待の生活を送っています。シエラのレスキュー隊員たちは、シエラがそういった運命をたどらないことを祈っていました。
スペシャリストのもとへ
シエラの状態はとても悪かったため、USDAは、シエラをIn-Syncのエキゾチック野生動物保護および教育センターという動物社会福祉団体へ移送することに決めました。この団体は、動けなくなった動物を保護し、治療して、健康に戻すことに特化した機関です。USDAは、In-Syncにシエラの状態が回復しないようであれば、安楽死させることを強く勧めました。シエラにこれ以上に苦痛を与えるのは好ましくないと考えたからです。
食べるのにも助けが必要
シエラは、In-Syncに保護されて、住み始めました。初め、あまり治療の効果はみられませんでした。それでも、レスキュー隊員たちは、彼女を助けると誓っていました。シエラは、自分で食べ物を食べることができませんでした。そのため、チームは、一緒に座って、食べ物を手で直接与えていました。In-Syncの創設者は、"最初の2週間は、シエラの檻に入って、直接餌を与えていました。ミートボールを口の中にいれて、飲み込ませました。”と言っています。
効果なし
In-Syncのチームは、シエラを助けるために、できるすべてのことをしましたが、あまり効果は見られませんでした。彼女の健康状態は、ここに来た時とあまり変わりはありませんでした。In-Syncのスタッフのひとりが、"シエラは、筋肉のバランスがうまく取れないから、歩くときに足がもつれてしまうの。”と言っています。彼女の回復への道はとても長いものでした。
何も効果なし
In-Syncのレスキュー隊員たちは、今までにもかなり衰弱した野生動物の世話をした経験がありましたが、シエラのようなケースは初めてでした。まるで、シエラが回復するのを拒んでいるかのようでした。もうあきらめているのでは、とすら思えるようでした。衰弱して無気力になって数日が過ぎたころ、シエラは、全く動かなくなりました。シエラは、食べたものをすべて吐き出すようになりました。健康状態がどんどん悪くなっていくようでした。これには、レスキュー隊員たちもどうすることもできませんでした。
つらい決断
In-Syncのチームは、路頭に迷っていました。彼らはシエラを救うため最善を尽くしていましたが、何も効果はでていないようでした。なんの効果も得られず数週間が過ぎたころ、彼らもUSDAのアドバイス通り、この大きな猫を安楽死させなくてはと覚悟し始めました。シエラは、痛みに耐え、とてもつらそうでした。チームもシエラにとって一番幸せなことは、安らかな最後を迎えさせてあげることだと感じて始めていました。
シエラは特別
チームは、シエラを失いたくなかったのです。シエラは、とても美しい動物で、その一生の多くを囚われの身で送って来たのです。どうしても、シエラに最後に楽しい時を送らせてあげたかったのです。シエラは、他のライオンと違い、彼女の毛皮はブロンドで、とても目立っていました。シエラのこのブロンドの毛皮で、前のオーナーもシエラに価値を見出していたのでしょう。この毛皮の色をもつメスライオンは、ティンババチか、南アフリカでのみ生息しています。In-Syncが、まさにシエラを安楽死させようとしていた時に、新しい情報が飛び込んできました。
遂に原因が
In-Syncのチームは、この美しいライオンに何が起きているのか、とうとう突き止めました。シエラは、トキソプラズマ症と呼ばれる病気で、しかもビタミンA欠乏症でもありました。これは、シエラの血の中に、パラサイトが寄生しているということでした。この病気は、猫科の動物には、致命的な病気でした。ようやく、飼育員たちもシエラに何が起こっているのかがわかり、彼女に薬を与えれば良いだけでした。
たくさんの症状
トキソプラズマ症は、猫によく見られる感染症です。免疫能力の弱い時に、この感染症にかかります。何年もの不適切なケアのせいで、シエラの免疫力は、弱くなっていたのです。それにより、感染症になったのです。トキソプラズマ症の症状は、筋肉バランスの低下、方向感覚の喪失、拒食症、無気力症、呼吸困難、リンパ節の肥大、そして視力の低下などがあります。もし、適切かつ迅速な治療がなければ、死に至ります。
抗生物質を与えるのは困難を極める
シエラの飼育員は、すぐにシエラに抗生物質を与え始めました。シエラへの診断結果が来るのに時間がかかったため、この抗生物質の治療は、彼女の健康状態を考えると遅かったのです。でも、これが、唯一の彼女を救う方法でもあります。抗生物質を頑固なライオンに与えるのは、とても大変な作業でした。シエラは、とても難しく、抗生物質を与えるのに、一時間もかかっていたのです。
ついに効果が
シエラは、抗生物質をとり始めてすぐに、効果が現れました。すぐにシエラは、歩き始め、自分で餌も食べれるようになりました。シエラの飼育員全員が、自然とシエラの調子が良くなったのは、この薬のおかげだと思っていました。しかし実際はそうではなく、この回復の速さには、じつは、全く違う理由があったのです。それは、誰も知らなかったことです。シエラは、全く違う薬を飲んでいました。
すごい回復
フェイスブックにて、In-Syncは、"シエラの健康状態は、驚くほど回復しています。今では、筋肉のコントロールもできるようになり、簡単に飲み込めるようになり、ウサギのように走り回っています。とコメントしました。しかし、毎日シエラを世話してきた飼育員たちは、こんなにひどい病気だったシエラが、こんなにも早く回復したのが、どうしても信じられなかったのです。抗生物質は確かに素晴らしいが、シエラの健康状態をここまで一機に回復できるとは考えられませんでした。
次は、友達
In-Sync施設内のシエラの住んでいる囲いには、となりにも囲いがあります。シエラの隣の囲いにいる誰かが、シエラをより幸せに、健康にしていたのです。In-Syncの従業員たちが、この二つの囲いで何が起こっているのかを知ったときに、とても驚きました。この先も読み進めて、誰がシエラを助けた隣人で、何故、シエラがそんなに早く回復したのか、突き止めてください。
カーンに会う
それは、ライオンでした。正確には、とてもハンサムなオスライオンでした。シエラは、この彼に恋心を抱いていたのです。初めから、この二人は、親密な絆があったようです。シエラのカーンに対する恋心が、彼女の回復の速さの原因だったのです。今、シエラは、他のライオンと関係性がうまれました。シエラは、生きる意味を見つけたのです。また、カーンもシエラと同じような生い立ちがあったのです。
同じ穴のむじな(それとも、ライオンのたてがみ?)
カーンは、6歳になるライオンで、シエラが助けられた2-3-週間前に、In-Syncに助けられたのです。シエラ同様、カーンも、テキサスのエンターテインメント産業で働かされていたのです。カーンも、あまりよく世話をされておらず、このレスキュー施設に来た時には、とてもひどい状態にありました。おそらく、ふたりは、同じ状況から来たもの同士、何か通じ合うものがあったのでしょう。
雄大なカーン
シエラ同様、カーンもショウアニマルでした。彼は、私用のパーティーで、吠えたり、二本の後足で、バランスよく立ったりして、観客を楽しませていました。彼のオーナーは、カーンを同じ町で違うイベントに連れて行き、時には、一日で、数か所のパーティーやイベントでパフォーマンスさせていました。これらすべての移動やショーへのパーフォーマンスで、カーンは、病気になってしまいました。しかも、そんなのはお構いなしに、こき使われていたのでした。
酷い場所にいたカーン
カーンが、ようやくIn-Syncチームに救われたときには、カーンはひどい状態にありました。彼は、栄養不足で、彼の年齢で同じライオンの平均より50キロ近くも痩せていたのです。オーナーによって、いたぶられ、オーバーワークをさせられていました。カーンは、小さなケージで住まわされていたため、成長が阻害され、骨の成長にも悪影響がありました。カーンは、とてもストレスのあった環境にいたため、信じられない行動に出てしまったのです。
我慢の限界
カーンが長年ひどい生活を送っていたため、カーンは、退屈さと欲求不満のせいで、自らのしっぽを噛みちぎっていたのです。カーンのしっぽの先は、すでにむき出しで、腫れあがっていました。もし救出がもう少し遅れていれば、カーンは、感染症になっていて、死んでいたかもしれなかったのです。キーヘイは、"カーンがここにやて来た時、彼のしっぽの先は、完全になくなっていて、とても痩せていました”とコメントしています。それに、カーンは、骨の形成にも異常があったため、うまく歩くことができませんでした。
攻撃的なライオン
カーンは、レスキュー施設に来た当初は、とても攻撃的でした。In-Syncのチームにとって、カーンの世話するのがとても困難でした。カーンは、前のオーナーにきちんとした食事を与えられていなかったので、食事時には、とても攻撃的になりました。多くの意味で、カーンは、とても危険なライオンでした。飼育員たちは、カーンに餌を与えるときや、治療を施すときには、最善の注意を払っていました。
家族の一員
カーンは、ファイターでした。シエラと違って、生きる意志を決して失なわなかったのです。彼は、すぐに回復していき、彼の攻撃的な性格も、徐々に落ち着き、おとなしいライオンへ変わっていきました。カーンは、他のライオンたちともうまく生活し、引退後の生活を楽しんでいたようでした。彼の攻撃的な性格は、健康状態の劣悪さから来ていたもので、今では、健康状態も改善され、彼の攻撃性もかなり落ち着きました。
新しい家
カーンは、In-Syncレスキューセンターでうまく生活していました。カーンのおとなしい性格もあって、センターの職員は、シンダーブロックの階段を立てることができました。そのため、カーンは、自分の囲いの中で、ねぐらに行くことが、容易にできるようになりました。そのおかげで、体をゆったり伸ばして、リラックスできるようになりました。ここは、カーンがかつて住んでいた小さなケージと全く違います。
友達もできる準備完了
さあ、カーンも一緒に遊ぶ友達が必要になりました。ライオンは、とても社交的な動物で、グループで(プライズと呼ばれる)住む傾向にあります。特に、カーンもシエラも長い間、他のライオンから離されて生活していたので、悲しかったはずです。カーンとシエラは、隣同士になってすぐに、友達になりました。この友達関係が、シエラにとっていい薬となったのです。カーンのファイターとしてのスピリットが、シエラにも伝わったのです。
同じトラウマでも違う反応
この二匹のライオンは、同じような悲しい境遇で生活していたにも関わらず、二匹の状態は、少し違っていました。The in-syncの創立者は、"カーンを治療するのは、簡単で、彼はすぐに新しい環境に適応していきました。でも、シエラは、全く違い、とても大変でした。彼女は、死にかけていましたからね”と述べています。この二匹のライオンは、同じようなトラウマを受けていたが、違う性格の影響で、このトラウマに対する反応は、全く違うものでした。
一緒に引っ越し
キーヘイは、この二匹のライオンの状態の改善に伴って、ある事をコメントしました。"この二匹のライオンが回復していき、立派な大人のライオンに成長しました。その間に、新しいライオンの囲いの建設も完了しました。それは、カーンとシエラが、隣同士に住むことができるようにデザインされました。”この二匹は、二人の関係の次のステップに進むのです。このペアは、どうなるのでしょうか?
愛情関係
カーンとシエラの関係性は、友達という枠を超えて、それ以上のものになりました。二人は、多くの時間を一緒に遊んですごしています。キーヘイは、"シエラは、この数か月、カーンの気を引くことばかり行い、カーンもシエラに気のある態度をとっています” とコメントしています。この二匹は、明らかに、愛のような物をお互いに感じています。もし、ライオンも恋に落ちると言うものがあればですが。ライオンキングを見たことがありますか?彼らにも恋はあるのです。
用心する
In-Syncの従業員は、この二匹のライオンは、明らかにお互いに愛情を抱いているのを見ています。お互い、デートしたり、お互いの囲い内を行き来できたりしますが、それを行う前に、シエラの卵巣を除去しました。おめでたは必要ないのです。この施設では、新しいライオンは必要ありません。In-Syncで働くビッキーは、"二匹は、毎日デートをしていますが、デートが長くなって、更に、デートが監視されない状態になったりします。”と述べています。
ついに結婚
ビッキーは、更に、"そこで、二匹を夜一緒に過ごさせてあげました。3か月のデートの後、ふたりを”結婚"させてあげました。二人が一緒に過ごすことができるように、特別な囲いも用意しました。二人の関係を見ると、どうやら、シエラがボスの様です”と付け加えています。この二匹は、真面目な関係になっています。In-Syncの誰しも、この二匹がお互いを見つけたことを嬉しく思っています。カーンとシエラは、ようやく、幸せで健康になることができました。
今夜は、愛を感じることができますか?
この新婚の二匹は、もはや離れることができません。シエラは、完全に夫を愛しています。また、シエラは、段ボール箱で遊ぶのが好きで、飼育員からいろいろ注意を引くのも好きです。ビッキーによると、カーンは、自分の奥さんへの独占欲が強いようです。カーンは、他のライオンが、シエラを見ると、とても嫉妬するようです。カーンは、彼の持っているすべての力を使って、彼女を守ります。この後、他のライオンが、シエラに近づくと、カーンがどうするか見てみましょう。
嫉妬深い旦那さん
カーンは、とても強くて美しい奥さんを自分が持っていることを、とてもラッキーだと感じています。カーンは、いつもシエラが安心でいるかを確認するのが好きです。ビッキーによると、"カーンは、オスにシエラは自分の物であると知らせ、うなり、時には、襲いかかろうとします”。この救出された二匹のライオンは、完璧なカップルになりました。では、そのライオンたちを虐待した人達はどうなったの?今、彼らは何をしているの?
その行動には、結果がついてくる
シエラ、カーンそれに他の動物を虐待した男は、もはや大きな猫や動物を飼う権利がなくなります。その男は、ライオンを飼うことができなくなり、その結果、彼のビジネスにも影響が出て、大きな損害を受けています。しかしながら、なん人かの動物愛護者は、この男は、もっと厳しい罰を受けるべきだと感じています。その男が行った罪もない動物にした行為を償うためにも、刑務所に統監されたり、もしくは、厳しい罰金を払うべきであると思っています。
ハッピーエンディング
この話は、とてもひどい状態にいた動物の話で始まりましたが、幸運にも、ライオンの掴んだ愛で終わることができました。シエラは、もう少しで安楽死させられるところでした。でも、彼女は、残りの人生を愛する旦那さんと共に生きる価値を見出しました。この話は、我々にハッピーエンディングが存在することを信じさせ、これ以上、ライオンが彼らのホームから盗み取られ、人間のエンターテインメントのために、こき使われることが起きないように我々が努力して未然に防ぐことができることも教えてくれました。