髪を伸ばし続け、ギネスを記録した日本人少女の理由と現在は
ディズニー映画「塔の上のラプンツェル」を見たことはあるでしょうか?その映画に登場する髪の長い少女ラプンツェルに、女性なら誰もが一度は憧れたことがあるのではないでしょうか。しかし、実際にあれだけ髪を伸ばそうとしたら、そこにかかる労力と手間は、並大抵のものではないはずです。そんな中、日本にもラプンツェルのように髪を伸ばしていた少女がいたのです。一体、彼女はなぜ髪を伸ばし始めたのでしょうか?そして、彼女の現在の様子とは?一緒に見ていきましょう。
ラプンツェルは、野菜である
ディズニー映画として有名なラプンツェルの基となった話は、実はグリム童話からなのです。また、ラプンツェルは少女の名前ですが、由来はオミナエシ科のノヂシャなど複数の野菜から来たと言われています。
原作では、長年子供のいなかった夫婦が、やっとの思いで子供を授かります。妊娠中の妻が、どうしても、隣に住む魔女「ゴーテル」の家の庭にあるラプンツェルを食べたいと願ったので、夫は取りに行きます。しかし、そこをゴーテルに見つかってしまい、子供が産まれたら彼女に渡すという契約を取り付けられたのです。
ラプンツェルの髪の多用性
ディズニー映画のラプンツェルは、ただ髪が長いだけでなく、その髪を使用して様々な能力を発揮します。魔女のゴーテルを塔から出入りさせるのに、はしご代わりに使用したり、王子であるフリンを縛り付けたり、戦いの時には大活躍します。
しかし、そんな彼女の髪の毛は、断髪されると途端に能力を失ってしまいます。そう、ラプンツェルから直接生えている髪の毛しか、その能力は使えないのです。また、彼女は、母親からその能力を受け継ぎましたが、能力が宿っているのは、髪の毛のみです。
ラプンツェルの髪の毛は何センチ?
ラプンツェルの髪の毛は、何センチあるのか皆さんはご存知ですか?映画を見る限り、かなりの長さがありそうですよね。その彼女の髪の長さは、21mにも及ぶのです。
彼女は、18歳の設定ですが、その年齢から考えると、ラプンツェルの髪の成長速度は物凄い勢いになることがわかります。もし、産まれてから一度も髪の毛をきっていないと仮定すると、1ヶ月で10cm近く伸びていることになります。また、どんなに乱雑な扱いをしても、その髪の毛は切れません。ちょっと羨ましいですよね。
日本だけじゃない
髪を長く伸ばしているのは、日本人の彼女だけではありません。写真の彼女は、ウクライナ出身の少女アレーナ・コルゼニュクです。彼女は、ウクライナで一番髪の毛の長い少女として認定されました。
彼女は、5歳の時に一度髪の毛を切ったっきりで、リアルラプンツェルと周囲に呼ばれていました。髪を洗うのに30分、髪の毛を乾かすのには5枚ものタオルを必要とし、1週間で3リットルのシャンプーを使ってしまうようです。
彼女の髪の長さは?
15歳の時の彼女の髪の長さは、2m35cm。その髪は、彼女の身長をも越しています。長い髪の毛は、彼女にとって、アイデンティーであり、髪を切ってしまったら、自分ではなくなるような気がする、と言います。
この長い髪の毛は、床についてしまっているので、つまずいたりすることもあるようですが、それでも、彼女はこの先も髪の毛を伸ばし続けると決めているそうです。現在、彼女は2児のお母さんですが、子供達の髪の毛を伸ばすかどうかは、子供自身に決めさせると話しているそうです。
日本にもラプンツェルのような少女はいた
そして、日本にも、ラプンツェルのように髪の毛を伸ばしている少女はいたのです。彼女は、現在19歳ですが、産まれてから一度も髪の毛を切ったことがないのだそうです。
鹿児島県出身の彼女は、家族の協力を得て、髪の毛をここまで伸ばしてきました。こんなに艶と輝きを保ちながら伸ばすのは、とてもじゃないですが、一人では出来なさそうですよね。一体、彼女はなぜここまで髪を伸ばしたのでしょうか?
この髪の長い少女は誰?
2018年、最も髪の毛の長いティーンエイジャー「Longest hair on a teenager」のギネス記録に認定されたのは、鹿児島県に住む川原華唯都(かわはら・けいと)さんです。当時、高校生だった彼女は、その4ヶ月前に認定されたコルドバ在住のアブリル・ロレンザッティさんの記録を破りました。
彼女が、このギネスに挑戦しようとした理由は、インターネットで偶然見つけたことがきっかけだそうです。その記事に感化され、家族に協力してもらいながら挑戦することを決めたそうです。
彼女が髪の毛を伸ばした理由とは?
彼女は、生まれてからすぐ、視線母斑という病気を頭皮に発症しました。その治療痕を気にしたお母さんが、しばらく髪の毛を伸ばして隠そうとしたのことがきっかけだそうです。現在は、手術により切除されましたが、やはり頭部、かつ女の子ということもあり、そのまま伸ばしていったそうです。
高校生活の中で、何度か切ろうと思ったタイミングは訪れたようですが、勉強に終われる毎日で、チャンスを逃し続けたそうです。そして、気づけばあっという間にこの長さになっていたのだとか。
彼女の髪の長さは、何 cm?
2018年にギネスに登録された際の、彼女の髪の毛は、155.5cm。これは、ほぼ彼女の身長と変わらない長さだそうです。コルドバのアブリルさんは、152cmだったので、彼女は3.5cmも上回ったのです。
このギネス記録の定義は、13歳の誕生日から、18歳の誕生日前日までが対象となっています。高校在学中に、ギネス記録に挑戦した川原さんは、18歳の高校卒業ギリギリにこの記録に挑み、見事ギネスに認定されたのです。
家族の努力
彼女のこの長くて艶のある髪の毛は、決して一人で維持することはできなかったと言います。18年間、川原さんの髪の毛は、母のみゆきさんが毎日丁寧に洗い、洗った後は、父の雄一さんが、一生懸命愛情を込めて乾かします。そして、兄の快人さんもが彼女の髪の毛を結ぶのを手伝っていたのです。
そう、この彼女の髪の毛は、家族の愛の塊だったのです。彼女が取ったギネス記録は、家族全員で成し遂げたといっても、過言ではないのです!髪の毛を伸ばすのに、こんなに素敵な思いがつまっているなんて感慨深いですね。
人生を変える
ギネス記録に認定され、話題になった彼女ですが、その川原さんは、更なる話題を呼びます。そう、彼女は、ついに髪の毛を切ることを決めたのです。
高校を卒業する彼女は、鹿児島県を出て熊本県で大学生になります。そして、日本の元号も平成から令和に変わりました。川原さんは、このタイミングをちょうどいい節目と考えて、18年間伸ばし続けた髪の毛をついに、切ることに決めたのです。
髪の毛を切る大きな理由
川原さんが、髪の毛を切ることを決めたのは、自分の中でタイミングが良かっただけではありません。彼女は、タレントのダレノガレ明美さんのインスタグラムを見て、ヘアドネーションという言葉を知ったのです。
ダレノガレさんは、長い髪の毛を30cm以上カットし、ショートカット姿をインスタグラムで披露しました。そして、それはヘアドネーションの為だったことを語りました。この投稿に川原さんも感化され、自身もヘアドネーションをすることを決意したのです。
ヘアドネーションとは?
ヘアドネーションとは、ガンや先天性の無毛症、事故や薬の副作用などで、髪の毛を失った子供達の為にカツラを作る材料として、髪の毛を寄付することです。
寄付された髪の毛は、完全オーダーメイドで、一人一人の子供達に合わせて、人毛の医療用ウィッグとして使用されます。髪の長さは、15cmまたは31cm以上とされていて、年齢・国籍・性別問わずに寄付できます。痛んでいる場合は難しいですが、ヘアカラーしていても寄付は可能です。
ヘアドネーションって実際にどうやるの?
現在、ヘアドネーションは、多くの企業や団体が行なっています。もし、これからヘアドネーションを考えている方は、しっかりと規定を守って寄付しましょう。ここで、簡単にヘアドネーションの手順を記載します。(団体によっても異なりますので、詳細は各HPをご確認ください。)
手順は、団体の登録フォームから申し込み、美容院に予約し、ドネーションカットを行います。ドネーションカットには、細かい規定があるので、よく読んで、切るようにしてください。その後、必要情報が記入された髪を一緒にして、梱包し送付してください。
ついにハサミを入れる時
そして、ついに川原さんの髪の毛に、産まれて初めて、ハサミを入れる時が来ました。大役を任されたのは、お父さんです。18年間一度も切らずに、愛情を持って、毎日乾かしてきた娘の髪の毛にハサミを入れるのは、例え自分の髪の毛じゃなくても、感慨深い気持ちになってしまいます。
束にした髪の毛の1つにハサミを入れたお父さん。ついに長い髪の毛とはおさらばの時が来たのです。髪の毛が切れた時、思わず周りから拍手がこぼれました。
家族の思い
今回、この髪の毛に最初にハサミを入れたのは、お父さんでしたが、お母さんもしっかりと近くで見守っていました。そのお母さんの目には、うっすら涙が浮かんでいるようにも見えました。娘の華唯都さんの頭部の異変に最初に気づいたのは、お母さん。
脂腺母斑というあざの一種の周りには、髪の毛が生えない為、見た目が円形脱毛症のようになってしまいます。そして、成長と共にそのあざは大きくなっていきます。そのあざを隠す為に伸ばし始めた髪の毛。その髪の毛を切る瞬間には、きっとお母さんも特別な思いがあったことでしょう。
短くなっていく髪の毛
その後、前髪や、後ろの髪も整えて、大学入学に向けて髪型をイメージチェンジしていきます。彼女は、インタビューで、「最初、髪の毛を切るときは、とてもドキドキして緊張したけれど、一度切ってしまえばどんな髪型になるのか、楽しみになった。」と答えています。
あんなに長かった髪の毛を切ってしまうと、印象もすっかり変わってしまいそうですよね。果たして、彼女は、一体どんな髪型になったのでしょうか?
切った髪の毛の重さ
彼女の切った髪の毛の重さは、100gで、長さは120cmにも及んだそうです。ギネス認定時は、155.5cmでしたが、切る直前は、さらに伸びて、173cmにもなっていました。
ヘアドネーションの規定は、15cmまたは31cm以上なので、彼女の髪の毛は十分すぎるくらいです。そして、立派に手入れされている為、問題なくヘアドネーションされます。この後、綺麗に梱包されて必要な団体のところに運ばれます。
私の髪の毛で幸せを
家族の様々な思いを抱えた川原さんは、今回のこのヘアドネーションについてのインタビューで、「私の髪の毛で、少しでも幸せを感じてくれたらいいなと思っています。」と答えています。
誰かの笑顔のために、自分の大切な髪の毛を寄付をする。簡単に聞こえることかもしれないが、それは中々できることではない。ましてや、ギネスに認定された思い入れのある髪の毛を切るのには、やはり勇気のいったことだろう。
自身の経験から人の為に
しかし、川原さん自身も髪の毛を伸ばし始めた最初のきっかけは、病気です。そして、自分のように病気や怪我で苦しんでいる人たちへの、少しでも役に立てればと彼女は、決断しました。
この行為こそ、まさに川原さんだからこそ、成し遂げられたことだと言えるでしょう。自身が苦しんだ経験を人の為に活かす、そしてこの行為は多くの人を動かし、今後、ヘアドネーションなどの活動等に参加する人は、益々増えることとなるでしょう。