来園者もびっくり!クマと猫が育んだ意外な友情とは
小さく脆弱な動物が、大きく力強い動物の獲物になることは、自然の摂理です。しかし、時にはそんな自然の摂理で説明できないことも起こり得るのです。2000年に、ベルリン動物園で起きたこの事件は、ノラ猫が550キロもの熊の檻の中に入り込んでしまうというヒヤヒヤした状況でした。職員と来園者も、一体この先何が起こるのか、気が気ではありませんでしたが、ただその様子を見守るしかありませんでした。一体、二匹の間には何が起こったのでしょうか?
ヒヤヒヤもの
2000年、ベルリン動物園にて飼育係が、モイスヒェンというアジアクマの檻を観察している際、とんでもないことが起きました。なんと、後にムシーと名付けられることになる黒いノラ猫が、熊の檻の中でウロウロしているのです。このことに気が付いた瞬間、全員が一瞬目を疑いました。
本来であれば、モイスヒェンのような大きな熊にとって、小さな猫は、あっという間に餌食となってしまうのです。その為、ムシーが私達の目の前で殺されてしまうのではないかと、恐れていたのです。
動物園の人気者
ベルリン動物園内には、多くの種類の動物が生息していますが、熊のモイスヒェンは来園者・職員のどちらからも、とっても愛されていました。それは決して彼の性格だけではなく、その大きさと迫力、力の強さも魅力とされていたのです。
その為、ムシーが同じ空間にいるのを見たとき、モイスヒェンがムシーにどのような危害を与えられるかも大体わかっていましたし、おそらく大惨事になることも予想されました。
最初の目撃
ムシーを最初に目撃したのは、早朝でした。職員がモイスヒェンの檻の中で、餌が十分あるか確認している際、ムシーが木の枝に座っている姿が目撃されていたのです。
動物園には、家猫のブースがなかったため、それはかなり不思議な光景であり、職員はどこから猫がやってきたのが疑問に思いました。ただ、その時点では、そんなに大きな問題になるとは思わなかったのです。
状況の急変
もちろん、モイスヒェンが木の上の猫に気づき興味を持つまで、あまり時間はかかりませんでした。モイスヒェンが最初から興味を持っていたのか、いつもの餌に飽きて、猫をおやつ代わりにと思っていたのかはわかりません。
モイスヒェンは、猫が座っていた木の方へ、ゆっくりと動き始めました。そして次の瞬間、傍観者もびっくり!なんと猫が檻の中へと、木の枝から飛び降りたのです。
皆びっくり!
私たちが想像していたこととは、真逆のことが起き、その状況を見ていた人達は、驚きを隠せませんでした。そう、モイスヒェンは、猫に威嚇するどころか、魅了されていたのです。
自然の摂理に反すると思う人もいるかもしれませんが、2匹はすぐに仲良くなり始めたのです。更に、お互いに対して親近感を示したどころか、すぐに切り離せないくらい大の仲良しになったのです。
離れ離れに
2007年、ベルリン動物園は、モイスヒェンの生活の質を向上させるために、檻を大きくする工事を予定していました。これはモイスヒェンにとっては、素晴らしい計画でしたが、それと同時に問題が発生しました。
檻の工事中、モイスヒェンとムシーは、離れ離れにならなければいけなくなったのです。2匹は、すでに親友になっていたので、離れ離れになることをどちらも望んでいなかったのです。
お互いを強く求めるその様子は、飼育員の心を痛めた
モイスヒェンの檻が完成すれば、2匹にとって今より良い生活が待っています。しかし、2匹には何が起きているのかわからないため、ただただ困惑している様子でした。二人は永遠に離れ離れになってしまったと思っており、どちらも悲しんでいました。
ムシーは、夜通しモイスヒェンの檻の前に座っていたこともありました。飼育係りの人々は、この特別で美しい関係を築いた2匹を、決して離れ離れにしてはいけない、と毎日心を痛めました。
やっとの思いで再会を果たす!
2匹は離れ離れの間、とても寂しい思いをしましたが、モイスヒェンの檻が完成されたのを機に、その哀しみも終わりを迎えました。新しく改良されたお家に戻り、2匹は感動の再会を果たしたのです。そして、昔のようにまた一緒にいられることを強く喜びました。
当然のごとく、この2匹の友情の再熱は、職員だけでなく来園者の大きな注目の的ともなりました。誰もがこの友情関係の行方に、目が離せませんでした。
本当の疑問
2匹が同じ空間に戻ってから、今までよりも更に多くの人が色々なところから、親友となった猫と熊の姿を、この目で確かめようと訪れました。本来は、一緒にいるところを見ることのないこの2種類の動物が、切っても切れない友情を築いたことは、人々をとんでもなくびっくりさせたのです。
多くの人がこの関係に興味を持ったのと同時に、多くの疑問も湧いてきました。その中でも、もっともよく聞かれる疑問は、「ムシーは、一体どこからやってきたの?」という事です。
2匹の関係の研究
多くの人は、ムシーがどのように動物園に侵入し、モイスヒェンの檻の中に入り込んだのかを疑問に思いました。しかし、その疑問についての答えは、長い間見つかりませんでした。ただ、ムシーの突然の登場以上に、2匹の友情を育む姿に対して、多くの人は疑問を抱きました。
本来であれば、“近づくな!”と本能が教えてくれるであろう捕食者の檻の中に、なぜムヒーは自ら入っていったのでしょうか?飼育係は、この2匹は出会うべく運命にして出会ったのだろうと思うようになりました。
学ぶべき教訓
確かにムシーとモイスヒェンの友情は、とても特別で可愛いらしい関係なのですが、そこには、もっと深い意味もあったのです。誰もが、猫と熊が深い友情を育むなんて予想だにしていませんでした。
これは、人間が人種、文化、性格の差異にかかわらず、友情は生まれることがあるということを示してきた生きた証なのです!友情は予期せぬところに始まり、同類の人とだけ接する必要性はないのです。
もうひとつの、猫と熊の友情
びっくりなことに、ムシーとモイスヒェン以外にも、友情を育んだ猫と熊がいました。
ベルリン動物園のムシーとモイスヒェンの関係が特別と思っていた人も多いのですが、遠く離れたカリフォルニアでも同じような関係が見つかったのです!フォルサムシティ動物園の保護区でこの2匹は見つかりました。このようなことはもう二度と起きないと思った矢先に!
またもや、黒猫
フォルサムシティ動物園の職員に名付けられたリトルベアは、ムシーと同様、黒猫でした。保護区に入り込み、いずれ動物園の熊の檻へと入り込んでしまったのです。ベルリンの時と同様、多くの人が、熊の檻に入り込んでしまった猫に大惨事が起きるのではないかと恐れました。
ただ、この2匹はなんの問題もなく仲良くなり、お互いの存在を心地よく思うようになったようで、皆安心しました。
ずる賢い子猫ちゃん
リトルベアは、もともとはずる賢い猫でした。職員が熊のために檻に置いていた餌を、毎朝リトルベアがこっそりと持ち出しているのが判明したのです。
熊から餌を取り上げるなど、本当に危険なことですよね。それでも、熊は気にしなかったようで、それからは飼育係が猫用のボウルを用意して、キャットフードを入れておくようにしたのです。
飼育係もびっくり
動物園の職員と飼育係は、2匹の動物の不思議な友情にびっくりしました。ふつうに考えれば、2匹がお互いを認め合う関係など、道理に合わなかったのですから。
フォルサムシティの飼育係長であるジル・ファウストは、彼女の仕事人生の中でこのようなことは一度も見たことがなかったと語りました。たしかに風変わりな組み合わせではありましたが、2匹の友情をなるべくうまく見守れるように動物園も努力をしました。
選んだのは、大きな友達
リトルベアは自由に園内をウロウロできる状況だったので、親友にするには熊とは面白い選択をしたのものです。リトルベアは園内でもっとも大きい動物のひとつを選びました!セコイアという名の、250キロも重さがある熊を選んだのですから。
セコイアは元々凶暴であったことはありませんが、リトルベアが危険にさらされないように、飼育係はこの不思議な組み合わせに目を配っておくようにしました。
動物園にとっても良い効果が
残念なことに、多くの動物園とその保護区は経営が苦しく、動物の生活エリアを維持し、動物の世話をするためにどのような援助でも助かるのです。幸運なことに、セコイアとリトルベアの友情のおかげで、フォルサムシティ動物園保護区の来場者は大幅に増えたのです。
小さな家猫と250キロの熊がつるんでいるところを自分の目で確かめようと、津々浦々から多くの人が訪れたのです。多くの人にとって、これは信じられない光景でした。
大きな熊のふりをするリトルベア
リトルベアは、セコイアや檻の中の他の熊に比べると、何分の1の大きさと重さしかありませんでしたが、熊たちに怯む様子はまったく見せませんでした。それどころか、檻の中でくつろいでいるようにも見えたのです。
日中のほとんど、リトルベアは檻の中の木々がもたらす影でくつろいでいる姿が見られ、熊たちは熊たちで、自分たちの生活を送っています。リトルベアは、自分も熊と思っているのではないかと信じている人もいたようです!
視線に酔いしれる猫
リトルベアは、園内、特に熊の檻の中でくつろいでいる際に多くの人が注目を浴びることに酔いしれていました。いつ殺しにかかってきてもおかしくない動物と一緒にいたのにもかかわらず、この上ないほど、リトルベアはまったりしていました。
リトルベアは、初めて熊の檻の存在を知り、中に入ろうと思った時から、そのような態度だったようです。ムシーとモイスヒェンのように、リトルベアとセコイアな切っても切れない友情を育み、多くの来訪者をびっくりさせたのです。
ずっと友達だよ
ムシーとモイスヒェン、またリトルベアとセコイアは、どちらも猫と熊という紛れもなく不思議な関係のもと、友情を築きました。それぞれの関係にはそれぞれの特別な部分がありますが、どちらの関係も、動物行動はまだまだ奥が深いと、人間に教えてくれたのです。
すでにこんなに素敵な友情を築いた2組。これからはますます絆を深めていくでしょう。このような友情はディズニー映画でしか見られないと思っていました!
孤児で、怯えていたお猿さん
ジンバブエの道端で見つかったベルベットモンキーの赤ちゃんにとって、生活はお世辞でも良いものと言えませんでした。発見された時は息絶えた母親猿にしがみついていて、発見したグッド・サマリタンにより近くの動物保護区に連れていかれたのです。保護区には同種の猿はいませんでしたが、彼のその後の人生を形成する手助けとなったのは、人間ではなかったのです!
この猿の名前はホラスでした。今はアフリカのジンバブエにある、トゥワラトラスト動物保護区で生活しています。トゥワラの創設者であるサラカーターは2016年に、The Dodo誌に次のように語りました。「ホラスのママは、交通量の多い高速道路で車に轢かれてしまいました。ママの身体にまたがっているところ、ホラスは発見されました。幸運なことに、善人に拾ってもらい、ここに連れてきてもらったのです。」
暖かい人間の手に包まれても、シャイなお猿さん
トゥワラトラスト動物保護区に連れていかれた時、ホラスはまだ自分では何もできない赤ちゃんでした。この小さな動物は、最初は新しい環境に怯えていたかもしれませんが、安心できる団体のもとに入りました。
トゥワラは、手助けを必要としている自然の動物にとって、安全な避難場所となります。よって、この保護区では、猫、犬、ライオン、アンテロープを含む様々な種類の動物を保護しています。そんなに動物がいて、あまり良い環境ではないと思うかもしれませんが…。
手を差し伸べてくれた、意外な動物たち
小さなベルベットであるホラスは、同じ空間にこのような多くの動物がいることに怯えていたかもしれません。ありがたいことに、保護区の動物はこの新参者を暖かく迎え入れてくれました。
「当時はあまりにも多くの保護した動物がいたにもかかわらず人手が足りなかったため、動物をいっしょくたに飼育する必要がありました。それでも、皆が良好な関係を築いたのです。」カーターはこのように語ったのです。あとはホラスが“ルームメイト”たちと仲良くするだけです。
時間をかけて、心を開いたホラス
ホラスがトゥワラで成長するにつれ、新しい友達と徐々に距離を縮めていきました。保護区にはさまざまな野生動物・飼育された動物がいましたが、ホラスは可愛いらしい子猫たちにまず惹かれました。
もしかしたら、自分と同じくらいのサイズだったためあまり恐れなかったのかもしれません。それに、誰が子猫に恐怖を抱くでしょう?でもすぐに、ホラスは保護区のより年上のメンバーたちとも仲良くなり、次に紹介するように、これらの動物もこの猿を一員として認めるようになったのです。
猫たちと特別な関係を築いたホラス
すぐに、ホラスは猫の友達とじゃれ合うほど、心地よさを感じるようになりました。自分の成長を身近で見てくれていた猫たち対して、特別な絆を感じていたのです。
飼育係の人間以外では、猫たちが、保護されたこの猿の世話をしないといけないという使命を感じていたのでしょう。多くのひとが猫は気難しい動物と思っているかもしれませんが、この例から、猫がいかにオープンで愛を振りまくかが見て取れます…特にほかの動物に対しては!
他の動物とも仲良しに
すぐに、ホラスはトゥワラ内で友達を作り始めました。特に仲がよくなった動物の1匹が、同じく保護区内に住んでいた救助犬のケイコです。
トゥワラは、見棄てられたり、虐待を受けたさまざまな野生動物や飼育動物の住処となっています。サラ・カーターと彼女のチームは、野生において生き長らえることができなかったかもしれない動物にとって、安全で養育的な環境を提供することに常に尽力しています。
ホラスの特技
成長するにつれて、ホラスはよくお昼寝をすることで有名になりました。ホラスはどこでも寝てしまう癖があり、特に猫友達とじゃれ合っている時には多く見られました。守られていると感じさせてくれる存在がいる安心感から来ているのでしょう。
カーターは2015年に、Daily Mail紙に次のように語りました。「ホラスはお昼寝の達人です。でも、何かを見逃してしまうのではないかという恐れからか、寝ないように我慢するのですけれどもね。ただ、どこでも気が向くところで寝てしまうのです。」
「おさるのジョージ」の生き写し!
ホラスは、トゥワラに住んでいるアンテロープとも仲良くなりました。ホラスを邪魔と思う動物もいるかもしれませんが、皆ホラスがおちゃらけて、好奇心旺盛だと知っているのです。本当の意味での暴力は、ここの動物の間では存在しません。
カーターは次のように語りました。「ホラスはとても多様で愛に溢れたトゥワラの環境で育ったため、自信と愛に満ちています。人間・動物を問わず、ホラスには多くの友達がいて、独りでいることは稀です。ホラスはお茶目で、とても賢く、際限なく面白い猿です。」
手に入らないものを欲しがるホラス
「彼の一番の悪徳は、食べてはいけないもの、行ってはいけないところ、そして触ってはいけないものに興味を持ってしまうこと」であるとDaily Mail紙にカーターは語りました。
ホラスは食べ物を盗む癖がありますが、幸運なことに、この写真が撮られた時間帯はちょうどおやつの時間だったのです。動物たちは、よく食事を分け合い、まるで自然のフルーツや野菜のビュッフェのようです。
いたずら好きなホラス
この写真には、ホラスと、保護区に住んでいる救助猫のフレディが写っています。ホラスはフレディの上で寝ているように見えますが、これはただの策略かもしれないとカーターは注意喚起しています。
彼女はDaily Mail紙に次のように語りました。「ホラスにはいつも笑わせられます。ホラスは有能な盗人ですよ。手がふさがっている振りをしながら、近づいてきてペンや紙の破片や食べ物を盗んでいくのです。また、人であろうと動物であろうと、何かを盗むために近づいてきてじゃれ合うこともあります。」
何にでも興味を示すホラス
カーターはまた次のように語りました。「ホラスは飽くなき好奇心を持っています。何にでも興味を持ち、私のところへ来て、何かを書いたりタイピングしているのをものすごく感心しているかのように見てきます。そして、私のペンを盗んだり、キーボードに飛び乗ってくるのです!」
これを保護区のほかの動物はあまり気にしないようです。それどころか、ホラスの好奇心がさらに大きくなっていくことを嬉しく思っているのでしょう。トゥワラでは、動物たちの本能が危険な方面に向くことなく、動物たちは奇跡的に共生していています。それは、彼らが育った、愛に溢れた環境のおかげでしょう。
夜のお散歩
ホラスは友達の特徴も多く自分のものとして身につけました。ベルベットモンキーであるホラスは、猫のような行動をとることもあるのです。
カーターはThe Dodo誌に次のように語りました。「ホラスは、よく猫たちと夜中に、真っ暗な中走り回るのです。本能に従い、他の猿は暗くなると眠りにつきます。そんな中、ホラスは夜中の10時でも、忙しくガーデン内を走り回っています。面白い子ですよ!」
王子様気分!
居眠りお猿ちゃんであるホラスは、たまに自分で歩くのが面倒なことがあります。でも心配無用!ケイコは、ホラスが保護区内で移動が必要な時に、いつでも背中に乗せてあげるようです。
ホラスはもう人間でいう大人の年齢になってきていますが、ほかの動物といるときは、まだまだ子供のような振る舞いをします。写真の中では、面白いくらいいらついているようにも見える犬や猫のお友達も、弟のようにホラスと触れ合います。
人生の意味とは
ホラスは実に特別な性格を形成しました。保護区で成長するのは野生で成長するのとかなり違いますが、それによりホラスは猿の中でとてもユニークな存在になったと言えます。
カーターはDaily Mail紙に次のように語りました。「ホラスはよく考えます。何処か遠くを見つめて、葉っぱや花や枝を手でクルクル回しながら、思いにふけているのです」。ホラスがどんなことを考えているのか、想像するだけでも面白いですね!
ホレスのサポート体制
ホラスや他の動物は、発見されてトゥワラに連れていかれて、とてもラッキーでした。しっかりしたサポートシステムのもと生活ができましたが、それはもしかしたらこの多様な種類の動物がいなければ達成できなかったかもしれません。
これはホラスの本能に反すると言う人もいるかもしれませんが、カーターはThe Dodo誌にて、このように反論しています。「ホラスはここにいれば友人もいて、安全です。保護区の人間・動物問わず、全員のサポートがありますから。」
多種多様から生まれる心地よさ
見ての通り、フレディはホラスのもっとも仲がよいじゃれ合い仲間の1匹です。この2匹は違う動物の種別ではありますが、動物は本能的な同情心があるかもしれないことを、サラ・カーターの保護区は証明してくれています。
カーターは次のように語っています。「私たちはよく親を失った動物を迎え入れるので、必ずしも同じ種類の動物と一緒に暮らせてあげられるとは限りません。ですが、例え違う動物の種別であっても、他の動物と一緒に居られることは、治癒的で心地よいのです。」
お兄ちゃんとしての役目
トゥワラトラスト動物保護区は、可能であれば動物同士を同じ種別でくっつけようとします。ですので、もう1匹、ベルベットモンキーの孤児がやってきた時、どの動物と一緒にするかは一目瞭然でした!
ホラスはもう大きくなったので、新参者が保護区に入ってきたときは、世話を見る立場です。この新しい猿の名はハミッシュで、ホラスと同じように孤児でした。ホラスは、小さい頃の自分を思い出させるハミッシュに対して、特別な繋がりを感じました。
じゃれ合いから生まれる癒し
ハミッシュは、成長期間の多くの時間を、ホラスの近くで過ごしました。もちろん、ホラスは安心を提供することを厭いませんでした。でも、ホラスはホラスで、まだ甘えることのできる時間も必要だったのです!
カーターは、The Dodo誌に対して、別の種類の動物間でも、お互いに癒しを提供できることを、ホラスが教えてくれたと語りました。「それはホラスから学びました。本当にすごい繋がりを築くのです。皆が癒しを感じられています。」
腕を失うという大きな代償
ホラスは、かなり大きくなりましたが、それでもまだトラブルに見舞われています。2016年には、ホラスが電線から強力な電気ショックを受けたというびっくりさせられるニュースを、トゥワラが発表しました。
Facebookで、次のように発表されたのです。「ホラスは意識のない状態で、両腕にやけどを負った状態で発見されました。このような強力な電気ショックを受けたにも関わらず、生きながらえたことは奇跡です。ホラスは、ずっと自由に生活してきましたし、そうあるべきなのですが…動物が世界で直面するすべての危険から守ってあげることはできません。」
野生に戻る理由などある?
ホラスは、電気ショックから生還しましたが、獣医はホラスの片腕を切断しなければなりませんでした。ただ、それはホラスを静かにさせるという理由ではありませんでした。復活後、すぐに保護区での生活に戻る為です。
カーターは、The Dodo誌に次のように語りました。「ホラスは、自由にどこへ行ってもいいのです。保護区から出て行くことを阻むものは何もありません。それでもホラスは残ることを選ぶのです。本当に、最高の人生を送っているのでしょう」。ホラスは今は健康体で、立派に成長しましたが、保護区が彼を引き止めているわけではないのです。出て行く理由がないだけです!