デンマークの女性考古学者、ヤーヌー島で驚愕の発見
歴史的に価値のあるものを発見するのは何も専門家だけに限ったことではない。オタクやマニアと呼ばれる人が偉大なものに出くわすこともある。そして、これこそ正にテレーズ・レフスガードに起こったことだった。テレーズは歯科助手で、考古学オタク、つまり、アマチュア考古学者だ。考古学の専門家ではないテレーズの発見は、専門家や考古学者を驚愕させた。
この発見は、瞬く間に世界中で話題となった。さて、彼女は何を発見したのだろうか。読み進めると、自分も何か掘り当てるぞ!という気になるかもしれない。
アマチュア考古学者のテレーズ・レフスガード
テレーズ・レフスガードは歯科助手をしているが、ずっと考古学に魅せられている。幼い頃から冒険が好きで、好奇心が旺盛な子どもだった。子どもの頃にはよく、変わった石を探しては、それらに古代の彫刻が入っているかのように想像して遊んでいたという。
こうした好奇心のおかげで、テレーズは誰もが驚く発見をしたのだ。その発見を伝え聞いた専門家らは、適切に調査を進めるべく、すぐさま対応にあたったという。
テレーズ、考古学研究会に所属
テレーズ・レフスガードはアマチュア考古学者として、考古学マニアからなる研究会に所属していた。研究会では、共に発掘作業を行うイベントが定期的に開催されていた。こうしたイベントに参加することで、テレーズは他のメンバーから様々なことを学び、1人では決して得られない現場での経験を積んでいたのだ。
この研究会のおかげで、たとえ何かを発見しても、どのように取り扱ったらいいのかについても学んでいた。当日テレーズが発見したものは、過去と現在を繋ぐもので、長らく探し求められていた重要な手がかりだった。
考古学は趣味
テレーズ・レフスガードは、考古学オタクとしての趣味が高じて、こうした研究会に所属して発掘作業を行うようになるとは考えてもいなかったが、時間ができるたびに、研究会のメンバーらと発掘作業に出かけていた。何かを見つけることが楽しくて仕方なかったのだ。
アマチュア考古学者としてこれまでにも小さな発見をしていたものの、この日の発見は、これまでとはまったく比べものにならないものだった。この日、テレーズは金属探知機を止めて、そろそろ家路につこうとしていた。
なぜヤーヌー島?
ヤーヌー島は、デンマークのユトランド半島の東海岸にあり、ヘーデンステットに属している。長さおよそ3キロメートル、面積はわずか3.2平方キロメートルほどの小さな島で、人口は104人しかいない。しかしながら、テレーズ・レフスガードがこの小さな島を選んだのには理由があった。
この小さな島は、これまでにも矢じりなどの遺物がぬかるんだ土から見つかっており、歴史的に価値のあるものが眠っているのではないかと言われていた。だが、テレーズは矢じりなどには興味がなく、もっと価値のあるものを発見したいと思っていた。そして、この日、その思いは叶ったのだ。
物語の中だけではなかった
子どもの頃、物語などで、1人で歩いていた主人公が何かにつまずいて、大きな価値のあるものを運命的に発見するという話を聞いたことはないだろうか。だが所詮、これは物語なのだ。
ところが、テレーズ・レフスガードはヤーヌー島で、運命的とも言える発見をする。何世紀もの間ずっと埋もれたままになっていた宝物が、テレーズに見つけてもらえるのを待っていたとしか思えない。
島のどこに行くかを決める
小さなヤーヌー島に到着すると、他にもアマチュア考古学者らが少なからずいたことにテレーズは驚いた。この島に何かあるのではないかと思っているのは自分だけではなかったのだ。少しがっかりしながらも、せっかく来たのだからやってやるぞ、という気持ちで作業に取り掛かることにした。
ヤーヌー島には、これまでにも数多くの遺物が発見された場所が数か所ある。だが、テレーズは、他の考古学者らがそういった場所に集まることを知っていた。他の人と同じような場所にいても何も見つけられないと思ったテレーズは、誰も行かないような場所に行くことに決めた。
他の人とは違う場所へ
テレーズ・レフスガードは、ヤーヌー島で、これまでに多くの遺物が発見されている噂を耳にしていた。明らかに、ヤーヌー島にまだ多くの遺物が残されていることを知っているのはテレーズだけではなく、他の考古学者らも、何か大きな発見をしようとしてヤーヌー島に来ているのだった。
他の人達がどこへ向かおうと、自身で別の場所を探そうと考えていたテレーズだが、こうした考えのおかげで、当日、島で最も価値のある遺物を発見できるとは想像だにしていなかった。
そのとき、何が起こったのだろうか
他の人達がみんな同じような場所で宝物を探しているのを横目に、テレーズは金属探知機を持って海岸へと向かって歩き始めた。趣味でやってきたこれまでの経験から、この日たとえ何も発見できなかったとしても、テレーズはさしてガッカリしなかったはずだ。
というのも、毎回何か見つけられるのではないかと過剰に期待していると、ガッカリすることが多すぎて、趣味として楽しめないということをよく知っているからだ。しかし、テレーズにとっては幸運にも、探すと決めた場所は正に宝物が眠っている場所だったのだ。
掘り出す準備は万端
考古学研究会に入ったことで、テレーズは、価値があるかもしれない何かを発見したときにどうしたらいいのか熟知していた。また、きちんと何かを発掘する作業に取りかかるときには、急がずにやらなければならないこと、もしかしたら思っている以上に掘り出すまでに時間がかかるかもしれないことについても、よく理解していた。
テレーズは決めた場所に着くと、緻密な調査を開始した。金属探知機を持って非常にゆっくりとしたペースで進むと、はじめは弱々しく、だが、とあるポイントに近づくにつれ、次第に金属探知機の音が大きく鳴り始めていった。
慎重に掘り進める
何かがそこに埋まっていると感じたテレーズは、慎重に掘り出す準備にとりかかった。アマチュア考古学者とはいえ、ただ単に砂場を掘るようにザクザクと掘り進めてはならないことは理解していた。そのため、ゆっくりと、慎重に、地面を掘り始めていった。
遺物を破損してはいけないし、見落としてもいけない。できる限り慎重に、ゆっくりと掘った後の土を調べながら、テレーズは何か重要なものが見つかったら、と期待を胸に少しずつ掘り進めていった。そして、テレーズは何かを見つける。
厳しい現実
地面を注意深く掘っていった後、ついにテレーズは何かを見つけた。残念ながら、それは望んでいたものではなかった。ガッカリしたことに、それはどこにでもある金属片だったのだ。「発見物」に笑いながら、どこか別の場所に移ろうかという考えが頭をよぎった。もう少し人がいるところを探してもいいかもしれない。
だが結局、テレーズは場所を変えなかった。その日はここを探すと決めたのだから、もう少しそこを1人で探してみようと考えたのだ。この決断こそ、彼女を歴史的な発見に導いたのだ。
諦めない
掘って出てきたものがどこにでもある金属片だったことにガッカリしながらも、そんなもんだということも分かっていた。何も見つからない日だってある。ひょっとしたら何か見つかるかもしれない、というワクワクする気持ちこそ、この趣味がやめられない理由なのだ。
海岸沿いを探そうと思ったのは、特に何の根拠もなく、単なる思いつきだったが、テレーズは諦めることなく、金属探知機を持って再び調査を開始した。
調査を続ける
結局のところ、テレーズが調査をしていたエリアはさほど大きくなかったため、金属探知機を使っての調査にもそれほど時間はかからなかった。ここと決めていたエリアの調査を終えたテレーズだが、どうも何も出てこない気がしていた。
その後、少しばかり休憩をとった後、再び金属探知機を使って調査を始めたところ、金属探知機が鳴り始めた。おそらく、今回も金属片か何かだろう、そう思っていた。
2度目のチャンス
時間を無駄にするまいと、テレーズは金属探知機が示す場所を掘り始めた。掘っても何も出てくる気配はなく、また間違えたのかと思い始めていた。
再び金属探知機を音の鳴った場所に向け、再度場所を確認して掘り始めたときだった。何かが見えてきた。どうやら思っていたよりも深い場所にあったようだ。テレーズはさらに掘り進めていった。
人が集まってきた
永遠に続くかのように思われた手掘り作業だった。必死に掘り進めているテレーズを手伝ってくれる人もいた。作業に集中しているテレーズを見て、何を見つけたのだろうかと、人が集まってきていたが、それにさえ気がつかなかった。手も疲れてきていたが、自分を励ましながら慎重に掘り続けていった。
そして、ついに。テレーズは見つけたのだ!興奮のあまり叫び声をあげ、何かを手に握りしめたまま、ぴょんぴょんと飛び跳ねているテレーズを見て、もっと人が集まってきた。テレーズは、一生に一度あるかないかの大発見をしたのだ!
一生に一度の大発見
驚くべきことに、このアマチュア考古学者は23個以上の宝石を見つけたのだ。さらに、それはただの宝石ではなく、なんと、1,500年以上も前の宝石だったのだ!
その後テレーズ・レフスガードの発掘を手伝った調査者らは、これがただ(それだけで価値のある)ゴールドの宝石を発見しただけでなく、誰も予想だにしていなかった歴史的価値があることを明らかにした。
何百年も前のゴールド
ヴァイレ博物館の調査責任者であるマッズ・レイヴンによると、テレーズ・レフスガードが発見した宝石は、6世紀までさかのぼることができるという。つまり、ヴァイキング時代よりも前ということだ。
「アマチュア考古学者が発見するまで何百年もの間、ずっと発見されないまま地中で眠っている遺物があったのです。今回のこれは、本当に驚くべき発見なのです。」テレーズは、不可能を達成することができたが、これはまだほんの序章に過ぎなかった。テレーズの人生は、正にひっくり返ろうとしていたのだ。
金貨や宝石以上の価値
初めに発見したのはゴールドの宝石だったかもしれないが、テレーズが掘り当てた場所からは、他にも見つかった。掘り続けたテレーズは、他にもビーズやペンダント、針、当時使われていた通貨だと思われる金貨などの遺物を発見したのだ。
ゴールドほど価値のある遺物を発見しただけでなく、テレーズの発見は長年考古学者らの間で不明なままとされていた数々の疑問を解決する手がかりとなった。当時のこの地域の歴史を紐解く上で、最も重要な発見の1つとなったのだ。
ローマ帝国との繋がり
テレーズは専門家らの助けを借りることなく大発見をしたが、それでも発見したものを専門家である研究者らに分析・調査してもらうまで、その価値について知らなかった。調査後、発見された32個のうち、27個の宝石は純金で作られていることが明らかになった。
調査責任者であるマッズ・レイヴンは「この発見によって、ヤーヌー島の人々がローマ帝国と何らかの繋がりを持っていたということが明らかになりました。」と述べている。これまでに研究者らの間で議論されていたものの、証拠がなく、不明なままとなっていたことが、この発見によって裏付けられた形だ。
島でさらなる証拠を発見
テレーズ・レフスガードの発見は、ヤーヌー島史上最も重要な発見の1つと言える。これまでにも古代ローマとの繋がりを示す可能性のある証拠は発見されていたものの、テレーズの発見によって、古代ローマ帝国と島との繋がりがハッキリと裏付けられたのだ。
ヤーヌー島では、漂着してきた後、堆積物に埋もっていたままとなっていたと考えられる矢じりなど、他にも遺物が発見されている。こうした遺物も、後にレフスガードのようなアマチュア考古学者らによって発見されている。
お供え物だった
一部の科学者や考古学者によると、ヤーヌー島で発見されたゴールドなどの遺物は、「怒れる神々」をなだめるためのお供え物だった可能性が高いとしている。そして、この説を信じる人は多い。というのも、価値のあるゴールドが長らく発見されなかった理由として納得できる仮説の1つであるからだ。
さらに、島にローマ帝国のゴールドなどの遺物が近くの位置にまとめて置いてあったことを考えると、意図的に埋められたのだろうと考えた方が自然だからだ。
さらなるローマとの繋がり
さらにレイヴンは「ローマ人と繋がりのある人々は、そこで起こった出来事にもおそらく関連していたと考えられます。この発見は、世界の歴史の中でも激動の時代を示すものなのです。いつの時代もゴールドを見ると、その時代ごとの特徴がはっきりと表れているものですから。」と、ローマ帝国との繋がりについて説明している。
ゴールドは、人々にとっても非常に重要な価値のあるものだったため、神にも喜ばれると考えられ、常に神の怒りを鎮める「犠牲」という形でお供え物として用いられていた。
ゴールド細工の模様もローマのものと似通っている
さらに、ゴールドがローマ帝国時代のものだと推測されている根拠は、宝石の文様やデザインにある。「工芸品の観点からしても、らせん状を描くゴールドの模様が独特で、(途中省略)高い技術があったことが分かります。」
6世紀頃のローマ人は、すでにゴールド細工の技術の高さを誇っており、ローマで発見された模様と今回のゴールドの模様が類似していることから、ローマで作られたものだと推測できる。
お供え物説、多くの人が支持
当初、発見されたゴールドは神へのお供え物だろうと一部の人々の間で言われていたが、調査が進むにつれ、この説を支持する人が増えてきている。たとえば、科学・研究・技術のニュース・アグリゲーターである『Phys.org』に寄稿した調査者は、この説に対して、こうコメントしている。
「これは困難な時代にある人々が、神に救いを求めて宝物を埋め、お供え物とした一般的なケースだろう。それが6世紀までさかのぼれるということは明らかだ。」
お供え物は何のため?
発見された宝物の時代を考慮すると、このお供え物は同時期に発生したエルサルバドルの火山噴火が原因ではなかろうかと考えられる。この説については、まだ調査中であるため、推測の域を出ない。
『Phys.org』には、「これはエルサルバドルの火山噴火後に、怒れる神々を鎮め、暗い空が広がる夏を終わらせようとして供えられたものなのだろうか?それとも、この数十年前に崩壊した西ローマ帝国のおかげで、「新たに裕福になった」貴族らがデンマークにゴールドを持ち帰り、北欧の神々への信仰に基づいた新たな儀礼様式を確立したことへの感謝だろうか?これは未だに解明されていない。謎のままだ。」
火山について
研究者らが議論している噴火は、エルサルバドルで起こった火山噴火を指しているようだ。この火山噴火によりおよそ10万人もの人々が死亡し、40万人以上もの人々が住み慣れた地を離れなければならなくなったと言われている。
エルサルバドルで起こった火山噴火は大規模だったため、エルサルバドルのみならず、世界中の人々に影響があったと言われている。大規模な噴火は、噴火直後のみならずその後数年にわたって影響を及ぼしたとされる。
歴史にも記されている
興味深いことに、ビザンチン帝国の歴史学者プロコピウスによると、噴火後、1年以上にわたって空一面が灰で覆われていたという。エルサルバドルから遠く離れたビザンチン帝国でさえも。
プロコピウスは、「太陽は光を失い、あたかも太陽がなくなってしまったようだ。発せられる光も弱々しい。」と記している。現代の科学を用いて、当時の噴火を分析すると、人類史上最も大規模かつ破壊的であったことが分かる。
火山噴火により気温変動が生じた
研究者らは、この自然災害による破壊は、噴火直後にすでに世界中の大部分に影響を与えたばかりか、この後数年の気温変動に繋がったとしている。デンマークでは、夏の日差しや暖かさが不足し、収穫が思うようにいかず、人々が暮らしていくことが非常に困難であったと考えられている。
ローマ帝国について記されている史料からは、日中でも太陽は見えず、6世紀のシリア年代記によると、「人々の間に絶望が広がっている」と記されている。このため、人々はゴールドを神にささげ、収穫など平安を祈ったのかもしれない。
現在、博物館で展示されている
現在もなお、考古学者や研究者らはテレーズの発見について研究を進めている。さらに、この素晴らしい発見を自分の目で直接見たいという人が世界中から訪れている。
2019年1月まで、このゴールドはヴァイレ博物館や文化史博物館で展示されていた。その後は、コペンハーゲンにあるデンマーク国立博物館に移され、一般公開されている。
テレーズ、自身を誇りに思う
未だに大発見の興奮が冷めやらないテレーズ・レフスガードだが、数え切れないほどの研究者や考古学者らに、この発見は奇跡的だと言われてきたのだ。もちろん、偉業を達成したことを誇りに思っている。
テレーズはゴールドだけでなく、歴史上、謎とされていた時代のすき間を埋める手がかりを発見したのだ。これによって、テレーズは有名となり、単なるアマチュア考古学者ではなくなった。これまでに趣味で行ってきた発掘作業にしても、やってきた甲斐があったというものだ。
現在のテレーズ
信じられないほどの大発見の後、テレーズ・レフスガードは博物館や研究者らと共に、発見したものを正確に調べる作業に加わっている。その後、自身についてや、発見について、そして発見したものが何であるかについて、メディアなどで語っている。
テレーズは現在もなお、歯科助手として働きながら、趣味の考古学を続けている。世界中にまだ眠っている遺物を発見しに行く計画を練っているのだ。今回の遺物以上に価値のあるものなんて、そうそう見つからないかもしれないが、それでもお宝さがしはやめられない、という。
テレーズの発見の影響
確かに、テレーズは長い間地中に眠っていた宝石を発見したが、科学者や研究者、歴史学者らは、その発見にそれ以上の価値を見いだしていた。彼らにとって、この発見は古代の人々や文化を知る大きな手がかりを与えてくれたのだ。はるか昔、どのような人々がどのように暮らしていたのか、そうした疑問に今回の発見は答えてくれるものだ。
テレーズによって、かつて失われていたピース(謎とされていた過去)が明らかにされ、過去のよりよい理解に繋がった。そう、テレーズと彼女の金属探知機のおかげで、多くの謎が解明されたのだ。
テレーズの発見を考察
ヤーヌー島でテレーズが発見したゴールドのおかげで、私たちの歴史の見方にそれほど影響があることを考えても、私たちが知っている歴史はほんの一部でしかないことを痛感する。さらに、テレーズが他の人が調査していなかった地域で宝物を見つけたことから、過去の手がかりがあると考えられている場所についても、見直す必要があるだろう。
過去について、私たちの多くはほとんどが明らかになっていると考えがちだが、実際には思っている以上に知らないことの方が多いのだ。研究者やテレーズのようなアマチュア考古学者は、歴史をもっと明らかにしようと尽力している。
発見した品を展示できる喜び
2019年の初め頃、デンマークの博物館で「Guld&Koas」展が始まった。この展示ではテレーズの発見したゴールドが主に陳列されることになっており、テレーズは大喜びで一般公開の手伝いをした。テレーズは「いつも、心優しく聡明な考古学者らに助けられました。
長い道のりでした。辛いときも、ワクワクする瞬間もありました。そして、かなりの汗と涙を流してきました。でも、それがついに報われるときが来たのです。子どもから大人までお楽しみいただけるような展示を開催することができて、とても嬉しく思っています。」さらに、コメディアンでもあり、ジャーナリスト、作家でもあるマルチタレントのアンダース・ルンド・マドセンまでテレーズの発見した展示品を見に来たのだった。
有名になったテレーズ、次は名前を出さないことに決める
テレーズはその発見によって世間の注目を浴びることとなった。そして、一躍有名人となった人なら誰でもそうだろうが、友達になりたいと言って近づいてくる人が、どういった理由で近づいてくるのか確信がもてなかった。自分の名前を発見した遺物の資料に載せるべきなのか、フェイスブック上でも質問を投げかけたほどだ。
「誰もが分け前を欲しがっていて、自分がバカで、無知で、騙されやすい人みたいな気分になる。でも、少しずつ学んで賢くなったの。今後は何か発見したとしても、自分の名前を絶対出さずに、匿名にしてもらうことにしたわ。誰も知らなくても、何を発見したのか自分さえ知っていればいいのだから。」
デンマーク人であることを誇りに思う
残念ながら、デンマークの人が世界的なニュースの見出しを飾ることはあまりない。デンマークの人口はわずか577万人で、実はニューヨーク・シティの人口よりも少ない。そのため、テレーズのゴールド発見のようなニュースが世界中に広まったとき、テレーズは自身だけでなく、デンマーク人としても誇りに思った。
「2016年5月からずっと秘密にしていたけれど、やっと、デンマークの人々にそれを見せることができたことをすごく嬉しく思っています。」と投稿している。
テレーズには多くのフォロワーが
多くの人がテレーズの発見とその前向きな姿勢を称賛している。テレーズは自身の展示や人生に関心を持つ人達とフェイスブック上で繋がり、多くの人から「本当によくやったと思います。あなたの発見にワクワクしたし、それに、今回のことはとても重要なことだと思います。あなたが展示しなければ、保管されたまま忘れ去られてしまう可能性もあったのですから。」といった、肯定的なコメントをもらっている。
また、「一緒に発掘作業に行かない?もっとゴールドを見つけようよ!」といったコメントに対しては、いつも時間をかけて慎重に返答している。
普通の人の考古学への関心を高めた
考古学について真摯に関心を持っている人もいる一方で、多くの人はあまり考古学について考えることはない。歴史的にもこんなに重要な発見をすることは稀だし、多くの考古学者が、何十年も発掘作業に携わっていながら重要な価値のあるものを見つけられていないこともある。
テレーズは、地中に眠っていたものを発見したことで、人々をワクワクさせた。そして、発見したものの重要性を説明していくことで、ごく普通の人もその歴史的価値を理解していった。テレーズが趣味に情熱を燃やしていることは明らかだし、それによって影響を受けた人も多い。
自分はラッキーだと思う
テレーズのフォロワーの中には、ゴールドを発掘する可能性に過度に興奮し、最近テレーズが何か見つけることができたのか知りたがっている人もいる。そういった人に対して、テレーズはすぐに、ヤーヌー島での発見はかなり稀であることを説明している。
フォロワーに対してこうコメントしている。「こういったものって、たとえばそこらへんの木にぶら下がっていたりするほど簡単なことではないんです。考古学者でも30~40年も探し続けているのに、古代のゴールドを見つけることができていない人もいます。それでも、私はラッキーなことにゴールドを見つけて、デンマークの歴史を知る手助けができたことを嬉しく思っています。今後、もっと多くの事実が浮かび上がってくるでしょう。」