クマの赤ちゃんを助けた州警察、さらに驚きの事実を発見
野生動物には関わらない方が身のためですが、時には動物の命を救うために人間の介入が必要な場合があります。このお話は、家族に捨てられたクマの赤ちゃんを発見したニューハンプシャー州の警察官による驚きの実話です。アメリカグマの赤ちゃんのことを知れば知るほど、このクマが特別であることに気づいた彼と仲間の警察官。人間が自然への介入を上手に行うことができた心温まるストーリーをご紹介しましょう。
動物の道路横断を警告していた警察
人口が多いエリアや大都市では、リーシュに繋がれたペットぐらいしか道路を横断することはありませんよね。ブレトン・ウッズのような田舎の街では、道路上に野生動物を見かけることはよくあります。
この森は、ニューハンプシャー州のキャロルに所在しています。キャロル警察では、運転中にヘラジカや他の野生動物に気を付けるよう呼びかけています。
野生のクマの家族に出会った住民
警察が警告していた通り、春のある日、野生のクマの家族が道路を横断。運転していたとある町の住民が、目の前を横断するクマの家族に遭遇したのです。
道路を横断する際、クマの家族はかなり時間をかけている様子でした。目撃をした住民は、すぐさま地元警察に連絡。母グマがコグマたちの統制をとることに苦戦してしていることは明らかです。
1匹遅れをとっていたコグマ
ノース・アメリカン・ベアー・センターによれば、生まれたてのコグマとを母グマと比較したサイズは、他の有胎盤類に比べて小さいとされています。はじめ、クマは完全に母グマに依存します。
道路を横断したコグマは生まれたてではありませんでしたが、まだ若いコグマでした。自立するまで1年半ほど母親の傍についていなくてはいけません。そのため、コグマの1匹がかなり遅れをとっていることは、かなり由々しき事態です。
交通を整備するために現場に訪れた警察官
警察に連絡を入れた住民に応えて、州警察官のトーマス・オーウェンさんは現場に直行。3匹のコグマが母親と一緒に移動しているものの、1匹がとても弱っていて道路の上で動けなくなっていることに気づきます。
自然界の母親にとって、一番弱い我が子の面倒までは見切れないという状況があります。このアメリカグマは、コグマの一匹が家族全体を危険に侵しているいるということを感じ始めているようでした。
コグマの明るくない将来
自然界の動物には人間のような医療手当てがないため、健康問題に直面しても無力です。ノース・アメリカン・ベアー・センターでは、3匹以上のコグマの群れは生き残りに苦労すると報告しています。
州警察が発見したクマの家族には、4匹のコグマがいました。そのため、全員に生き残りの力がなかったとしてもおかしくありません。母グマも、そのことは恐らくわかっているのではないでしょうか。
助けが来るまで待機
警察は、弱ったコグマが最終的に動いてくれることを期待して、クマを避けるように交通を誘導します。しかしコグマが完全に無力であることがわかると、警察官は専門家に連絡を入れました。
母グマは、増え続ける人間のギャラリーを避けるように、健康なコグマを引き連れて先へ進みます。州警察は、コグマの移送をサポートしてもらえるよう合衆国魚類野生生物局に連絡を入れました。
コグマを安全な場所へ
この写真は、おいていかれたカワイイアメリカグマの子供を抱くトーマス・オーウェンさんです。アメリカグマには発情期というものがあるため、赤ちゃんは大抵1月ごろに生まれます。つまり、このコグマは発見時に生後3か月ほどであったということです。
その年の降雪量によって、親グマは4月ごろコグマと一緒に初めて住処を出ます。おそらく、この弱いコグマが問題となり始めたのはこのころからでしょう。
別の出来事との関連性
クマを安全な場所へ連れて行ったあと、警察は状況を調べることにしました。そこで、この出来事とその1日前に起った別の出来事に関連性があることがわかってきたのです。
およそ1日前、警察では別のコグマを同じ町で救出しました。4匹のコグマを連れているということは珍しいことなので、前日のコグマは同じ大家族の一員なのかもしれません。
残されたコグマたちは兄弟
キャロル警察署で調査を行い、救出されたどちらのコグマも同じ母親から生まれたということが発覚。子どもを出産することに関しては、クマは妊娠する赤ちゃんの数で人間に似ています。
一度に大抵1~2匹のコグマを出産し、3つ子以上になることは極めて稀です。5つ子を出産したこちらの母親は、記録破りと言っていいほどなんです!
他に策がない母クマ
3匹のコグマを連れているだけでもリスクが多いため、4匹のコグマを抱えているということは、少なくとも1匹は病気になったり弱ったりするという可能性があるということです。この母親が元々5匹のコグマを抱えていたとすると、この状況も納得もできますよね。
母グマは、5匹のコグマを抱えていたにも関わらず、1月から全員を住処で守ってきたのです。ただ、春になって外に出ると、そのうちの2匹が生き延びていけないことが明白化してきます。そこで、一部のコグマを救うために母親は犠牲を払わざるを得なかったのです。
救出にやってきた警察
この母クマにとっては幸いなことに、警察によって救出された2匹のコグマたち。キャロル警察署ではリハビリのためにコグマたちの面倒を見る手はずを整えました。
専門家の助けと科学と医療の力で、コグマたちが野生に戻れるほど元気になることを願っていた警察官たち。ただ、母親や残りの兄弟と再会できるかどうかは、時が経ってみないとわかりません。
兄弟の再会
兄弟コグマは、ニューハンプシャー州のライムにあるクマの施設で再会しました。1匹目のクマは、クマの家族が道路で発見される1日前に1匹で森の中にいるところを保護されています。
2匹目のコグマは、それから間もなくして兄弟に仲間入り。つまり、どちらのコグマも長い間家族から離れずに済んだというわけです。弱ったコグマ2匹が24時間の差を開けずに発見されたということは、もはや運命だとしか思えません。
遊びから学びを得るコグマたち
発育不良のコグマたちにとって、家族であるという理由だけでなく、遊び仲間ができたという点でも再会には重要な意味があります。人間同様、コグマもたくさんの時間を遊びに費やします。
遊びはコグマの発達にとって重要です。特に、小さく未熟に生まれたコグマによっては欠かせません。ノース・アメリカン・ベアー・センターによれば、コグマがたくさん遊ぶ正確な理由は不明ですが、脳の発達と、心臓の健康に関係している可能性が高いとされています。
クマの家族をカメラにおさめた女性
ジェーン・ラングメイドさんは、クマの家族が道路を横断中に道を走行していました。ご察しの通り、ジェーンさんはカメラを取り出して、この光景を撮影。動画のスクリーンショットからわかる通り、母クマの後ろには3匹のコグマが続いています。
元々来た方向に戻ろうとしているところで、4匹目のコグマが歩けなくなってしまったようです。動画の中では、健康なコグマを連れて発育不良の子供を後にする前に、母親が道路をウロウロする様子が見られます。
不安そうではあるものの攻撃的ではない母クマ
この動画の最も悲しい部分は、母クマの不安そうな様子です。4匹目のコグマが道を渡ることができないとわかると、母クマは反対側まで戻っていきます。
3匹のコグマを後ろに連れて、道路を行ったり来たりする母クマ。近くに警察官がいたものの、母クマが彼に敵意を向けることはありません。4匹目を助けたいだけである母親の様子がうかがえます。
おかしなくらい怖がりなコグマたち
警察官が撮影した弱ったコグマのうちの1匹の写真を見ると、アメリカグマでも穏やかな時があるということがうかがえます。このコグマは赤ちゃんですが、大人のアメリカグマは戦うより逃げます。つまり、ハイイログマに比べて危険度が低いのです。
ノース・アメリカン・ベアー・センターのリン・ロジャーズ博士によれば、アメリカグマはコグマを守るために戦うことには消極的です。アメリカグマにとって生き残りの効果的な方法は木登りの能力だ、と博士は話します。この怖がりの遺伝子こそが、アメリカグマには受け継がれているのです。
ご自宅で試すのは禁止
キャロル警察署ではフェイスブックのページにこの話を投稿していますが、「自分達でクマを対処できるとは思わないように」、と忠告しています。この話の母クマとコグマは落ち着いていたかもしれませんが、クマに怖がる理由を与えないことがベストです。
警察官はクマの対処法に関して熟知していましたが、それでもクマを直接対処することを避けています。アメリカグマが人間を襲うことはかなり稀ですが、専門家にすべてを任せた方が身のためです。
クマが住んでいる美しい場所
クマの家族は、メイン州とニューハンプシャー州の境界線上にのびる美しいホワイト・マウンテン国立森林公園を歩き回っていました。広がる山々の景色、雪に覆われた丘、鮮やかな葉の木々が広がるこの場所は、まさに楽園です。
アメリカグマとヘラジカに加えて、この場所はハゲワシ、コヨーテ、ボブキャット、キツネ、ミンク、ハリネズミなどの様々な野生動物が暮らしています。保護された750,000エーカーの自然を誇っています。
自分達で生き延び方を学ぶ
他の哺乳類同様、アメリカグマは母親から大人としての生き方を学びます。警察官によって母親から救出されたため、このコグマたちが森林生活に準備ができるかどうかはセンターの力にかかっています。
多くの人が、弱ったコグマに二度目のチャンスを与えた警察官の話に感動しました。警察のフェイスブックのページに感謝のコメントを残したユーザーまでいます。
いつの日か家族と再会できることを祈って
このコグマたちは、いつかまた家族に再会することができるかもしれません。警察官たちは母クマと健康な兄弟の行方に関して発表をしていないものの、一ついい知らせがあります。
フェイスブック上で、コグマを助けた警察官にユーザーのひとりが質問したところ、キャロル警察が返信。リハビリ後、コグマたちは無事に野生に放たれたそうです。
母親に捨てられたコグマを見つけて驚きの行動に出た漁師
人間と同じで、動物たちは子どもを支えることができないということがあります。こちらの母クマは自分のコグマを愛してはいたものの、自然界では戦うか逃げるか反応が働くことがあります。悲しいことですが、この母クマは自分自身の命かコグマの命かどちらかを選ばなくてはいけない状況に直面したのです。母クマは自分の命を救うためにできる限りを行い、そのお陰で辛い思いをすることになってしまいました。
今回のお話のとある漁師は、自分が重要な役割を果たすとは思ってもいませんでした。自然界では、予期せぬことが起こり得るという良い例かもしれません。コグマに明日はないと思われた瞬間に、予期せぬ助けの手が差しのばされたのです。
凍るようなロシアの水温によって寒くて動けなくなった母クマ
ストーリーの舞台はロシア!人間が自由に自然と触れ合えると言えば、ロシアですよね (?!)。話の英雄たちは、オゼロ・ヴィゴゼロにて釣りを楽しんでいました。ロシア北西部の淡水の湖は、マイナス20まで下がることがあります!
この巨大な湖は、落ちてしまった場合漁師たちにとってかなり危険です。泳ごうと試みた野生動物にとっても命に係わるほど危険です。理由はわかりませんが、コグマと一緒にこの湖を横断することを決めたこちらの母クマ。おそらく食べ物を求めて死に物狂いだったのでしょう。この湖を渡ろうとすることで、家族を失うことになろうとは予想もしていなかったのではないでしょうか。
好奇心で死にかけたクマ
自然は予想がつかないものですよね!これは誰もが理解していることでしょう。それでも、コグマと一緒に凍えるような巨大な湖を渡ろうとする母親の意図は理解しかねます。理由が何であれ、この母クマはコグマと一緒に渡りきることができると思ったようです。
ネタバラし!母クマ「は」、渡りきることができました。ただ、コグマのほうはそこまでラッキーとはいかなかったようです。クマはお腹を空かせていて、エサを求めて反対岸まで移動しようとしていた可能性があります。自然は予想がつかないものですが、人間が「おかしい」と思うような行動の裏にもきちんと理由があることがほどんど。さて、流されてしまったクマたち…どのようにバラバラになってしまったのでしょうか?
待ち受けていたのはカオス
それでは、話を詳しく見ていきましょう。こちらの母クマはコグマの子育て中でしたが、まだ泳ぎ方を教えてはいなかったようです。それでも、生き延びるためにはオゼロ・ヴィゴゼロを渡らなくてはいけません。子どもたちは一生懸命母親にしがみ付きます。しかしすぐに、母クマは子どもを振り落とさないと誰も生き延びることができないということに気づいたのです。
決断は簡単ではありませんでした。同時に、生き残ることも楽ではありません。このままでは、母クマ諸共沈んでしまいます…コグマのために死ぬ覚悟をするのでしょうか?そのまま沈むか、泳ぐしかありません!
別れの瞬間
子どもたちを置き去りにするショッキングなシーンは、ほとんどの人が見ていられないと感じるのではないでしょうか。この辛い瞬間は、人間が考える自然の在り方に完全に反するものかもしれません。しかし、この話はこれだけではなかったのです。
この母クマが下した決断の理由には様々な要因があります。母親は、自分の子供を死なせるかもしれない状況を許さざるえなかったのです。その理由に驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。それでは、早速のその行動の理由を見ていきましょう!
真の敵は水の流れ
母クマは、コグマと一緒に湖を渡ると決意した際、オゼロ・ヴィゴゼロの流れを甘く見ていたのかもしれません。この湖は大きいですが、恐らく母クマは以前に泳いだことがあるのでしょう。事件が起こったその日、水流はかなり強いものでした。
懸命の努力むなしく、母クマはコグマを守り切ることができません。コグマを振り落としたり、無理やり手放したりしたわけではありません。水流の力によって、家族は引き離されてしまったのです。コグマを置き去りにすることは楽なことではありませんが、コグマを助けて岸まで泳ぐことは不可能です。
コグマはどうしたらよいのか?
取り残され恐怖におびえるコグマたちは、自分達の生き残り本能を働かせなくてはいけません。母クマからは泳ぎを教えてもらう機会がありませんでした。それでも、無我夢中で体を動かします。水をバシャバシャさせることと水泳は同じではありません。このコグマたちは、その初めの部分に関しては自分達で突き止めることができたようです。
しかし、希望はあまりないように思われました。エネルギーがどんどん消耗して、母クマの姿はほとんど見えません。ついにエネルギーを使い果たしたコグマたちは、凍るような冷たい水に屈するしかないようです。しかし、その時奇跡が起こりました。
希望は失われていない
コグマには、もはや希望が残されていないように思われました。母クマはコグマから遠ざかり、子どもたちが取り残されてしまったことは明らかです。もちろん、コグマたちが何を考えていたかはわかりません。クマと人間は同じ生き物ではないですが、想像してみることは自由ですよね?
コグマたちはどれくらい諦める寸前だったのでしょうか?疲労感が広がり、エネルギーはほとんど残されていません。運命に身を任せるしかない状態です。しかしそんな時、危険な潮の流れが、コグマたちに有利な流れに変わろうとしていました。お次は、予期せぬ英雄の登場!
鋼の英雄現る
諦めかけていたその時、コグマたちの運命を変える出来事が起こります。遠くに、金属の英雄…漁船が現れたのです。もしコグマたちが話せたら、「助けて!」と慌てて声を張り上げるところだったでしょう。
しかし、大声を上げるまでもありません。クルーたちは、遠くからコグマの姿を捕らえていたのです。彼らは母クマがコグマたちをおいて泳ぎ去るところも目撃していました。助けを差し伸べることに躊躇していたものの、このまま放っておけばコグマたちに生きるチャンスはありません。さらに、コグマたちは船に向って泳ぎ始めてきたことも助けを差し伸べる後押しになった理由です。
いつも通りの仕事のはずがいつもと違う展開に
コグマたちが泳いでいったのは、漁船です。乗船中の漁師たちには自分達のすべきことがあったものの、コグマたちが危険な状態であるということは目に見えていました。コグマを無視して漁を続けることなんてできますか?
そうすることもできましたが、放っておくことができなかった漁師。彼らは自然が大好きなんです。その日の売り上げに影響が出る可能性があったものの、漁師たちはコグマを助けることにします。ただ、これには問題があったのです…。
問題の母親
コグマたちを助けると決意した漁師でしたが、ボートは大きな障害を通り越さなくてはいけません。子どもを置き去りにせざるを得なかった母クマでしたが、まだ水中にいてボートに危害を加えられる距離にいたのです。
そのため、漁師たちは待機するしかありません。救出をはじめる前に、コグマの母親には十分遠くに離れてもらう必要があります。解決策があるだけよかったですよね!ただ、決意したコグマたちには漁師たちとは別の計画があったのです。
自分達独自の計画があったコグマたち
漁師たちが自分達の計画を実行する前に、コグマたちは驚きの行動に出ます。自分達独自の計画を実行したのです。「自分達が助かる一番のチャンスはこの漁師たちである」ということを理解して、そのチャンスを逃すまいと行動にでました。
コグマたちは、漁師たちが母クマがいなくなるまで待機しているということを知りません。そのため、唯一の希望である漁師の元へ泳ぐことにしたのです。母親にしがみ付いたのと同じように、コグマたちは生きようと必死にボートにしがみ付きます。
カメラにおさめたい絶好の瞬間
この状況の中で漁師がしたのは、もちろん (?) 撮影。溺れかけたコグマを助けるという経験は、一生に一度あるかないかの経験です。機会を見計らって漁師はクマを撮影し始めます。動画で姿が確認できるまで傍に寄ってくる瞬間を待っていたのです。
最終的に、撮影を開始した漁師。写真からわかるように、とってもカワイイクマですよね!こんなにカワイイクマを死なせるわけにはいきません。撮影を続けながら、遂に救出作戦が開始しました。コグマが船を掴んでいる以上、もう後戻りはできません!
策を思いついた漁師
どうやら、コグマたちの作戦はボートにたどり着くまで。一度ボートにたどりついて乗り込もうとするやいなや、ボートの高さと疲労から乗り込めないということに気づいてしまったのです。そこで、コグマを助けようと漁師のひとりがアイディアを思いつきました。
漁師は船にのせていた漁業の物資全てを引っ張り出して、コグマたちに使えるようなものがないか探します。網が最も論理的な答えに思えたものの、これには問題がありました。問題に関しては、またのちにご説明しましょう。さて、ということで、コグマたちは別の計画を思いつかなければいけません!
迷ったら口を使え!
生き残りのための動物の勘というものがコグマたちに働いたようです。再び勘がさえてきたコグマたち!漁師たちのタイムリミットが迫る中、コグマたちは自分達の歯を使って掴めるものにしがみ付くことにします。
疲れ果てたこの状況で、ボートに噛みつく作戦が功を奏しました!これで生き延びることができるかもしれません!少しでもエネルギーを節約できたことで、漁師たちは怪我をすることなくクマを船にのせる方法を考える時間が稼げました。クマたちは助けを必要としているものの、野生動物であるため油断は禁物です!
今のところうまくいっている計画
さて、漁船にしがみ付いたコグマたち。漁師たちは安全にコグマたちを引き上げる方法を思いつこうと必死です。ただ単に諦めて、クマたちを水に付き落としてしまったほうが楽だったでしょう。しかし、この漁師たちは冷たい人間ではありません。それに、クマたちがここまで頑張ってきたのです。助けてあげないわけにはいきません!
しかし、手をのばしてクマを引き上げることは不可能です。それに、乗組員の中にそこまで力のある人がおらず、正直野生の動物に向って手を差し伸べるほど勇気がある乗組員もいません。そんな時、必死なコグマと人間の目が合います。
目は魂の入り口
人間とコグマの目が合った瞬間、コグマが危機に瀕しており、助けを必要としていることは明確でした。その死に物狂いなコグマの目を目の当たりにして、漁師たちの恐怖は消えていきます。クマがボートの上で安全を確保出来たら、助けてくれた人間を襲おうとはしないはずです。
目は、魂を映し出します。誰が何を見ているかなんて関係ありません。このコグマたちは漁師たちに自分たちの魂を明かしたのです。今度は漁師たちが自分達の隠れた勇気を見せる時!そこで、やっと救出作戦が機能し始めました!
新しい改善プラン
少し前、漁師たちは自分達の物資を確認していました。釣り竿?役立たず!網?これなら役に立つかもしれません!コグマたちはすでにボートにしがみ付いています。少し後押ししてあげるというのはいいアイディアです。
しかし、どんな計画にも問題は付き物。網はクマに届くほど十分な長さがあるのでしょうか?ましてや、クマを助けてあげられるほどの強度はあるのでしょうか?しかし、計画はこれしかないため、もう後戻りはできません。
迫りくるタイムリミット
計画が決まるなり、漁師たちはコグマを救うための時間があまり残されていないことに気が付きます。コグマたちは湖を泳いで、何時間も思われるような長さの時間に耐えているのです。この計画は成功させなければいけません。別の新しい計画を思いつくような時間は残されていないのです。
コグマを救うために網の強度が足りるかどうかは、試してみればすぐわかります。時間はかかるかもしれませんが、他に策もありません。コグマたちにとって、これは生死に関わる問題であり、漁師たちはコグマたちを死なせることはできません。
言うがやすし?
漁師たちは、1匹目のクマの下にネットを移動させようとすぐに行動に出ます。2匹目のコグマはまだ水中で必死にボートにしがみ付いていました。クマを持ち上げようと網を利用した漁師たちですが、ここでいくつかのことが明らかになります。
1つ目は、網の強度が十分であるということ!コグマの体重で持ち手の部分が折れることはありませんでした!次に、狩猟者に見えなくもない漁師が乗り込む船に、野生のクマを引き上げようとしているという問題があります。漁師たちはこの可能性を考えましたが、その決断は驚くべきものでした!
力強い野獣を落ち着かせる方法
自然界で最も危険な動物を小さなボートに引き上げるということは、安全とは言えません。1匹目のクマは疲労しているとはいえ、船に乗り込めば何をするかわかりません。漁師たちを脅威と見なせば、自分を守るくらいのエネルギーはあるでしょう。
クマを落ち着かせるために、漁師たちが使ったのは誰もが経験があるであろう古い手。船に危険はなく、安全な岸に連れて行くだけであると安心させるため、赤ちゃんに話しかけるような宥め声でクマに話しかけたのです。クマたちを意図を理解したようですが、エネルギー不足で持ち上げるのがますます困難になってきていました。
最高の重さ
漁師たちが行おうとしていたことはどれほど恐ろしいことなのでしょうか?大人のクマは、770キロほどもします。生まれたての赤ちゃんは、せいぜい500グラム。このコグマたちはその間といった大きさですが、毛は水でびしょびしょになっています。
コグマを救おうとした勇敢な漁師たちは、自分達の力を限界まで試すことになったに違いありません!しかし、それでも諦めなかった漁師たち。出せる力全てを出し切って、1匹目のクマを引き上げました。楽な作業ではなくしばらく時間がかかりましたが、それだけの努力が実ったようです!
ボートに1匹目
網でしっかりと抱え込み、漁師たちはコグマを引き上げます!ついに1匹目が救出されました。このコグマは命拾いしたようです!乗組員たちは喜びましたが、お祝いをする暇はありません。まだもう一匹が、エネルギーが尽きる中、水中に浮いているのです。
幸い、クマは暴力的ではないことがわかりました。しかし、2匹目はまだ水の中でエネルギーが尽きかけています。
作戦変更
2匹目の救出作戦の難しい部分は、ボートに引き上げるということではありません。これに関しては漁師たちはすでに経験済み。何が問題かというと、初めに2匹目のコグマを1匹目がいた場所に移動させなくてはいけないということです。そこまで移動させることができたら、サイドから船の上に引き上げる方法を考えなくてはいけません。
これは簡単な作業ではありません。漁師は水に浮かぶコグマに近きましたが、コグマにはつかまっているだけの体力が残っていない可能性があります。そこまで来たら、網をコグマの下にくぐらせて、再びコグマを引き上げなくてはいけません。2匹目のコグマは疲れ切っているため、全体重を引き上げる羽目になるでしょう。
遂に再会した兄弟
1匹目よりも重く感じられた2匹目のコグマ。漁師たちはクマの下に網をくぐらせて、ボートに引きずり上げました。ここまでくれば、救出方法は1匹目と同じです。コグマが船にしがみ付く間、漁師が全力でコグマを引き上げます。
再会を果たした兄弟たちですが、お祝いをするだけの気力は残されていません。救出してくれた漁師たちもまだお祝いできる状況ではありません。コグマたちは救出されたものの、この子たちは親に置き去りにされてしまいました。一体どうしてあげたらよいのでしょうか?
まだ救出成功とは言えない状態
無事に船の上に引き上げられたクマたちですが、救出作戦がまだ終わっていないことは明らかでした。コグマたちはガタガタと震えています。凍えて怯えているのに、あやしてくれる母親は傍にいません。さらに最悪なことに、人間との接触は初めてで、何を考えているのかまるで分らなかったのです。
お分かりの通り、漁師はクマたちに危害を加えるつもりはありません。世界の仕組みを学んでいる最中にこのような事故に巻き込まれてしまったコグマたち。ここまでの流れを聞けば、あまりいい状況には思えませんよね!漁師が岸まで着くことができれば、状況は変わってくるかもしれません。
いいペットとは言えないクマ
コグマが直面している最大の問題は、その今後です。母親に捨てられていて、クマはペットには適していません。震えて怖がるコグマを見て哀れに思ったこの漁師たちに頼るしかないようです。
漁師にとってその決断は楽ではありませんでしたが、コグマを陸まで連れて帰って、あとは本人たちに委ねるしかありません。生きるための十分なスキルを母親から受けていることを祈るのみ!それに、母親と再会できる可能性は十分あります。
陸に返すのにうってつけの場所
漁師たちは、新しい「お友達」を船から降ろすのに最適な場所を見つけました。漁師たちは、それほど遠くまでは母親が移動していないと踏んだのです。ということで、母親が岸のどちら側に行きついたのかを見極めなくてはいけません。もし正しい岸にコグマを降ろすことができたら、母クマはコグマの元まで戻ってくる可能性があります。
漁師たちは見まわして、最後に母親を目撃した場所から母親が行きついたであろう岸を推測。救出劇同様、確率の問題では高いとは言えません。ただ、これは試してみるべき可能性です。
島に到着
島に近づく中、全員が息をのみました。母親はコグマのことを待っているのか?これは正しい岸か?母親がいるとしたら、漁師たちは安全でいられるか?すべての疑問の答えが明らかになる瞬間です。
コグマを島まで輸送して母親と引き合わせることができれば、漁師が正しいことをしようとしているということを理解してもらえる可能性はあまりありません。母親の勘で子供を守ろうとするでしょう。漁船内の緊張が高まっていきました。さて、島に待ち受けていたものとは一体…?!
母親は出迎えてくれるのか?
漁師たちは、コグマの母親が現れることを警戒して、少しの間待機することにしました。しばらくしてコグマを船から降ろしても安全だと判断したものの、どうやらコグマたちはお別れの準備ができていなかったようです。
救出中、コグマたちと漁師たちの間には、お互いの間に絆のようなものが生まれていました。漁師からの愛によって救われたコグマは、漁師たちから離れたくなかったのです。もっと正確に言えば、行けなかったと言ったほうが正しいかもしれません。かなり弱っていたのです。漁師は母親が今すぐ現れてもおかしくないとわかっていた漁師たちは、コグマのことを想いコグマたちを自然い送り返します。
運びの天才
ここまでの時点で直接的にコグマに触れることを避けていた漁師。しかし、コグマは弱り切っていていたため、遠慮している暇はありません。漁師たちはコグマを抱きかかえて、岸まで連れて行きました。
乾いた地面まで送り届けられたクマたちには、まだ試練が待ち受けています。お別れを言うのは簡単ではありませんでしたが、漁師たちは別れが避けられないことを理解していました。愛情によって数時間だけでも結ばれていたとはいえ、人間とクマは住む世界が違います。
価値あるリスク
さて、事実を見ていきましょう。船に乗っていて、世界で最も危険とも言える動物2匹が溺れかけていたら、みなさんは助けますか?答えづらい質問ですよね。この漁師たちは、勇気を振り絞って正しい行いをしたのです。
クマたちは暴力的であるということで知られていますが、ほとんどは人間から離れて自分達だけで生活しています。背中を向けるのではなくクマに生きるチャンスを与えた漁師たちは、自分達の命をかなりのリスクにかけたと言えます。一生続くようなその絆は、命を懸けるだけの価値があったのではないでしょうか?!
様々な可能性
残念ながら、コグマが母クマと再会したかどうかに関してはわかっていません。漁師が去った時点の状況しかわからないためです。いつの日か漁師が現場に戻って、「友達」の近況を報告してくれるといいですね。今のところ、コグマたちが生き延びる運命だったということを信じるしかありません。
生き残りはクマにとって楽なことではありません。研究によれば、現在存在する8つのクマの種が絶滅の危機にあります。この2匹のクマがまだ生きているとすれば、クマたちの未来が少しだけでも明るく感じられますよね。