急いで店を出た客が残していった信じられないプレゼントとは
人は時にあまりにも予想外のことがあると、固まってしまうことがあるだろう。何気ない毎日を送っていると、何か新しいことがないかなと探してしまいがちだが、実際に起こってしまうと即座には、なかなか対応できないものだ。カルフォルニアのサクラメントで起こったこの出来事は、たった一人のウェイターの運命を変えることとなった。その日も多くの客が押し寄せ、お店は混雑していた。飲み物を作ったり、注文をとったりと、忙しくも普通の夜になるはずだった・・
ウェイトレスとしての生活は簡単ではなかった
あなたが今までウェイターやウェイトレスの仕事をしたことがある場合、この話は共感できることが多々あるだろう。この仕事は、想像するよりも遥かに体力勝負であり、長時間立ったまま働くことを余儀なくされる。しかし、給料はあまり高くはないし、時には失礼な客の相手もしなくてはならず、一日を台無しにすることもある。
その夜、ウェイターは一人の客が奇妙な行動をしているのに気づいた。その男は、テーブルの上にあるメモを残し、急いでレストランを去った。しかし、そのメモを読んだウェイターは、急いでその客を追いかけなくてはならない事態と直面したのだ。
忙しく駆け回る
この奇妙なハプニングは、天気の良い金曜日に起こった。レストランにはたくさんのお客が集まり、テラス席では、ウェイターがたった一人でとても忙しそうに注文をとっていた。
ファビラは、仕事にも熱心で勤勉な男だが、この夜はあまりの忙しさに少し圧倒されていたようだった。なぜなら、客からファビラーが一人で大量の客を処理するのには、少し無理があるのではないかと指摘されたほどだ。しかし、彼はどうにかその状況を乗り越えようとしていた。
シングルファザーの彼
本題に入る前に、ファビラについて知っておこう。彼は、カリフォルニア州ローズヴィルに住む31歳の父親だ。ローズヴィルは 、サクラメントの都市圏に位置している。
ファビラは2つの仕事を掛け持ちしており、1つは今回の話の舞台となるワインバー「ハウス・オブ・オリバー」で、もう1つは、厳しい環境の下の重労働作業だった。彼にとって、これは選択や意志などではなく、生きていく為に必要に迫られて 2 つの場所で働いていたのだ。ファビラは、できる限りのことを子供たちのためにしてあげたいと思っていた。
出来る限り働く
本題に戻るが、実はファビラは、店のウェイターでさえなかったという事実がある。男はハウス・オブ・オリバーのバーテンダーで、客の飲み物を中心に提供していた。
しかし、その日は忙く人手が足りなかったので、ウェイターとして働くことになったのだ。ハウス・オブ・オリバーは、常に人手不足だったので、全従業員が自分の仕事以上のできる限りのことをしなければならなかったのだ。しかし、慣れないウェイター業で数人の客にサービスを提供した時点で、彼がてんてこまいになるのは、簡単に想像できるだろう。
疲弊した夜
人手が足らず、どうすることもできなかったので、彼はやるしかなかった。とその夜のことを語っている。かわいそうに、彼は朝からの仕事が終わってすぐにこのワインバーの仕事に向かったのだ。
そう、つまりは彼にとっては既に疲れ切っている体に、更に鞭を打たれたような感覚だった。もう、この夜は悪いことしか起きないだろうとさえ思った、と言う。
ステフェン・バーの入店
しかし、この時点での彼は知る由もないが、彼の人生は良い方向に変わろうとしていたのだ。とある顧客が、ファビラの人生に驚くほどの影響を与えることになったのだ。ファビラは、こんなことになるなんて思ってもみなかったのだ。
その顧客とは ステフェン・バー氏。レストランが忙しくて、ファビラはステフェンが来たことも気づかなかった。特にその日の仕事には慣れていなかったので、ステフェンに注意を払うこともなかったのだ。
予想外すぎる出来事
ファビラは、これまで長い間サービス業で働いていた。サービス業というのは、良い日もあれば悪い日もあり、決して自分が描いていた夢のような仕事ではなかったが、家族のために働かなくてはいけないことは、わかっていた。
この仕事ではさまざまなタイプの人々を相手にしなければならず、予期せぬ事態も想定しなければならないことを知っていた。しかし、ステファンは、そんな彼の予想を遥かに上回ることをしたのだ。
チップの重要性
残念ながら、サービス業で働くアメリカ人の給料はそれほど高くないのが現状だ。この仕事の頼りはチップなので、サービスを提供している間は、できるだけ丁寧でフレンドリーな接客を心がける。そうでもなければ、必要な額のチップを得ることはできない。
今やアメリカの文化ではチップを払うのは当たり前のこと。すべてのウェイター、ウェイトレス、バーテンダーは、時給ではなく、顧客が彼らに提供するチップを頼りにしている。ファビラも、そんな働き方をしているうちの一人だった。チップがどれだけ彼の生活を支えているかは、身を持って知っていた。
ミスをしないか不安だった?
その夜、ファビラはウェイターとして働かなくてはいけなかったので、いつもより緊張と不安を抱えていた。彼の目の前にはやることが山のようにあったので、ミスなく仕事を正しくこなせるかどうかを心配していたのだ。
客に気配りができているだろうか、適切なタイミングで注文を取ることができているだろうか、満足して帰ってくれているだろうか、などという思いが彼の頭の中を駆け巡っていた。多くのお客さんは、料理に集中し、その夜を楽しんでいた。その時、ステファンは、ファビラに狙いを定め、鷲のように彼を見つめていたとも知らずに・・・。
会計の時
数時間が経ち、多くのお客さんが楽しい夜を終え、帰って行ったので、店はそこまで慌ただしくなくなっていた。そして、そんなタイミングでステファンが会計をしたいと言って来たので、テーブルを離れ、会計の準備をしに行った。
ファビラは、会計をプリントし、ステファンのテーブルに持って行ったが、すぐにまた新しい客が来たので、その対応をしにテーブルを離れてしまっていた。そして、ステファンのテーブルに戻ってみると、彼はウェイターに知らせずに、すでに店を出た後だった。
この時から何かが変わった
お客さんは、カードを使って会計をすることが多いので、いつもカードの精算機をテーブルまで持っていく必要があった。しかし、ステファンは違ったのだ。
多くのケースでは、客が現金で支払いをしても、お釣りを待つためにウェイターを待っている。しかし、この話はそのようなケースには当てはまらず、ステファンは、現金を置いて去ってしまったのだ。テーブルを見たファビラは、唖然とした。
大盤振る舞いだったステファン
ステファンの会計は、200ドル近く(2万円ほど)になっていた。彼はその夜、お酒や食事をとても楽しんでいたので、かなりお金を使ったようだ。むしろ、料理の値段なんて気にしていないようだった。
正確には、全ての会計は191.39ドルになっており、彼は小切手で支払うことにしたようなのだ。しかし、彼が残した金額は、元の金額の2倍になっていた。これは何かの間違いだと思ったファビラだが、伝票に何かメモが残っていることに気がついた。
メモの言葉とは
あまりにも突然の出来事に、ファビラは目の前のことを信じられなかった。しかし、伝票にはステファンから、「僕らは若いなりに、一生懸命生きている」というメモ書きと共に食事と同額のチップが残されていた。
ファビラは、言葉を失っていた。確かに、彼は他の人よりもそのお金が必要だったかもしれないが、それでも自分のためのものであることを確認する必要があった。そして、次の瞬間、彼は店を飛び出していたのだ。
間違いではなかったチップ額
幸運にも、ステファンの居場所を突き止めるのにそう時間はかからなかった。彼は、ちょうどレストランを出たところだったので、ファビラは思い切って、なぜこんな大金をチップとして残したのか訊ねた。
話によると、ステファンはまだ24歳でサクラメント州立大学で勉強しながら、無給のインターンシップをしていたところだった。これだけを聞くと、よりこのチップ額が信じられないこととなる。ファビラは、「何かの間違いではないか」と聞くと、彼ははっきりと「間違いではない」と答えた。
ファビラに共感したステファン
ステファンとファビラは、そこで少し立ち話をした。その会話から、ステファンがなぜ多額のチップをくれたのか明らかになった。実は、ステファン自体もウェイトレスとして働いたことがあり、ファビラの苦労を分かっていたのだ。
ステファンは、CBSのインタビューで、ウェイターが提供するサービスは、周囲から当たり前にように思われていて、あまり感謝されず、評価もされない仕事だと話している。彼はまた、忙しいシフトを一人で回すことがどんなに大変なのか知っていたので、ファビラの姿に強く共感したという。
親切な人は存在する
ステファンは、ファビラがどのような人生を送っていたのか、全く知りもしなかったし、その当時人気のあった、チップをどれだけ払えるか競うテレビ番組を真似したわけでもなかった。
ステファンは、単純にファビラから受けたサービスが非常に心地よかったと感じたのだ。ただ純粋に親切に接客してくれた男性に、チップでご褒美をあげたいと思ったのだ。近頃は、なかなかそのような親切な人に出会うことは、難しくなっていたので、ファビラの驚きは、予想を遥かに超えていた。
ステファンの祝いの席だった
ステファンの多額のチップを残した理由は、次の話を聞くことで更に意味のあるものとなるだろう。実は、ステファン自身は、その夜大学4年の卒業を祝うために友人たちとレストランに来ていたのだ。
そして、彼は長い間、現金を稼ぐために懸命に働いていたので、今日こそ何かお返しをするチャンスが来たと感じていたのだ。そして、そんな気分の時に一生懸命働くファビラを見て、感化されたのだった。チップを多めに払うことが彼に出来る唯一のことだと思った。
今までに感じたことのない程の感謝の気持ち
地元の報道局は、このファビラにとっての運命的な夜についてインタビューを申し込んだ。 彼は、この時代でも、若くても、このように他人に対して、敬意や感謝を素直に表してくれる人が存在することに感謝の意を述べた。
二人は、これまで人生で一度も会ったことがなかったが、それでも、ステファンは多額のチップを残すことで、その人に感謝することにした。もちろん、そのお金を自分の将来の為に残しておくこともできただろうが、彼は同世代である一人のウェイターに渡すことにしたのだ。
あなたはどれくらいチップを残しますか?
サービス業で働いている人は、低賃金を埋めるためにチップが必要なのは、欧米では常識かもしれないが、実は思ったほど多くの人が十分なチップを残しているわけではない。日本には、そもそもチップを残すという文化がないが、旅行でその土地を訪れた時の為に、覚えておいた方がいいだろう。
一般的に、飲食店などのサービスを受けた時にチップを残す割合は、会計の総額の15%~20%と言われている。しかし、中には少なくチップを払う人は愚か、全く残さない人もいる。統計によると、アメリカ人の40%がそれ以下か、全く何も残さないということが分かっている。
最低額のチップ
サービス労働者が直面する最大の懸念は "最低賃金のチップ "と呼ばれる労働法である。この法律は決して十分な法律ではないが、働いているすべてのサーバーにとっては重要な法律なのだ。
ウェブサイト minimum-wage.orgのレポートによると "カリフォルニア州の最低賃金は時給12.00ドル。更に労働法で、雇用主からカリフォルニア州の最低賃金と同額のチップを支払うことが定められている。もし、彼らが他の労働者と同じように稼げる職業であれば、この問題はそれほど深刻ではないのだが・・。
多くの意見が生み出される
多くの人がこの制度は、適切ではないと感じているという。彼ら自身もチップに頼って生計を立てるのは、理想的な方法ではなく、サービス業で働くすべての人に適切な賃金が支払われるべきだと意見している。
全国の何百万人もの人々のために、より安定した信頼される雇用構造が起用されることを望んでいるのだ。チップに関しては、誰もがステファンのように親切ではないので、このようなことは、よっぽどのことがない限り、期待できない。
謙虚さは偉大である
ステファンは、彼自身もまだ正式な職に就いていなかったにも関わらず、自分と同じ状況の人に対して、何かしてあげたいという思いが強かった。また、一生懸命働くファビラについて、何かを残してあげたいと思ったのも事実だ。
そして、多額のチップを残したからと言って、決して傲慢な態度をとるわけでもなく、そっと店を去りたかったのだ。そんな姿を想像すると、彼の謙虚さがとてもよくわかるだろう。そう、謙虚でいることが、人々をより喜ばせたりもするのだ。
ステファンから学ぶ
ステファンは、自分のしたことが大きな手柄だなんて思ってもいなかった。それは彼の心の優しさからただ行った行為だったのだ。ファビラは、200ドルものチップをもらうのに値する人物だと信じていたのだ。
彼は、感謝されたり恐縮されたりしたくなかったので、レストランを急いで出て行った。しかし、ファビラもまたその事実を安易に受け取らず、真意を確かめようとしたことで、二人はこうして会話を交わすことができた。誠実さがこの奇跡を呼んだのだ。
親切心とは
裕福な人たちが寛大な寄付をしているという話はよく耳にするだろう。彼らは、様々な慈善活動に多額の寄付を何度も行っているが、多くの人がそうすることで周囲からの賞賛や注目を集めることも目的としている。
そうなのだ、悲しいことに、誰もが親切心から善行をするわけではない。人の目を気にして寄付をする人もいれば、自分を良く見せるために寄付をする人もいるのだ。もしくは、そのような行動から、周囲の信用を得るために行っているのかもしれない。
いいことをしたら戻ってくる
因果応報という言葉を信じる人もいれば、信じない人もいる。英語で言う、カルマは、良いことでも悪いことでも、行った行為は何らかの形で返ってくると言われている。だからこそ私たちは、常に自分が相手にしてもらいたいように人に接するべきなのだ。
カルマの考えを持たずに、知らず知らずのうちに重要なことやって遂げる人もいる。ステファンは、まさにカルマについて、深く考えずにただ助けたいと思っていたのだ。
諦めない
この話から得られる最も重要な教訓は、何があっても決して諦めずに謙虚な心を持つと言うことだ。ファビラはその夜、仕事で忙殺されていたが、それでも彼は元気に頑張っていた。
彼は彼なりに一生懸命頑張っていただけであり、決してチップの為に働いていたわけではなかったし、まさかこんな高額チップを受け取るとも思っていなかった。もし、彼が早退したり、上司に助けが必要だと投げ出していたりしたら、この出来事はまた違っていたかもしれない。あなたも目の前のことに一生懸命取り組んでみよう。きっと誰かが見てるはずだろう。
ワッフルハウスに勤めていた女性の人生がある出来事をきっかけに一変した理由とは
その日も、テキサス州ラマルケのワッフルハウスに勤めているとある従業員は、いつものように仕事場に向かいました。その日は、特に変わったこともなく、いつも通りの朝でした。しかし、その数時間後に起きたある出来事をきっかけに、彼女の人生は一変するのです。
このワッフルハウスには、かなりの数の常連客がいました。そのうちの一人は、ローラ・ウルフという女性。彼女は、頻繁にレストランに立ち寄り、コーヒーやワッフルハウスのスタッフとの会話を楽しんでいました。
彼女がレストランに来るのは、毎週の習慣になっていました。しかし、その日2018年3月3日は、いつも朝食のために立ち寄るただの1日とは、全く異なる運命となったのです。ローラは、朝食を食べていた手を止め、それに注目せざるを得ませんでした。そして、どうにかその人物を写真に納めようと、彼女はスマートフォンに手を伸ばしました。一方、写真におさめられようとしているその人物は、そのことに全く気づいていなかったのです。
なんで今日はこんなにたくさんの人が?
ローラが撮影を開始したのは、決して誰かがやっているのを見て、感化されたわけではありません。しかしこの日、ローラは他にも奇妙なことが起こっていることに気がつきました。ラ・マルク・ワッフルハウスは、いつも混んでいましたが、今日はその混雑時よりもはるかに混んでいたのです。それはまるで町の16,000人の住民ほとんどがそこにいるかのようでした。
店員は、朝のモーニングの提供で、注文や料理の提供に大忙しでした。ローラは、その様子をじっと見つめます。
ローラは、とある従業員に注目する
このワッフルハウスへ定期的に通うようになってから、ローラは一部の従業員と顔見知りになりました。特に忙しい朝によく働いていたウェイトレスの一人、エヴォーニ・ウィリアムズという女性とは仲良しでした。彼女はこのレストランに長年勤めている従業員であり、常連客にも働き者として知られていました。
わずか18歳のエヴォーニは、大学進学のためにお金を稼ぎ、貯金をすることに専念していました。ワッフルハウスでの長年の勤務経験は、彼女の経済的助けになりましたが、それでも貯金の額は、あまり増えていませんでした。
なんて忙しい日なんだ!
エヴォーニは、レストランがかなり混雑していることにある意味興奮していました。なぜなら、お客さんが多ければ多いほど、チップが多くもらえ、それは彼女たちの直接の稼ぎとなるからです。彼女は、一生懸命に注文を取り、飲み物や温かい食べ物の提供に勤しみました。
しかし、こんな忙しい日なのにも関わらず人手が足りていません。そのため、エヴォーニは、自分の仕事をしつつも、他のポジションの仕事までカバーしなければなりませんでした。彼女は、お客一人一人に一生懸命接客するために走り回っていましたが、あるテーブルに食事を提供した瞬間、そこから動かなくなったのです。
彼女は何に気付いたのか?
彼女がお腹の空いたお客さん達に、一生懸命食事を提供している時に、ふとあるお客に目がいったのです。彼女は、そのお客が少なくとも週に一度は訪れる常連客であることは認識していました。
その顧客は、78歳のエイドリアンという男性で、みんなから "Mr. Karaoke(ミスター・カラオケ)" の愛称で親しまれていました。ワッフルハウスの従業員は、彼がいつも酸素タンクを携帯していることから健康面で問題を抱えていることを知っていました。そんな彼にエヴォーニがとった行動は意外なものでした。
エイドリアンが彼女を呼び止める
エヴォーニは、一日中混雑しているワッフルハウスでノンストップに動き回っていました。 どうにかこの速い回転スピードに追いつこうと、休憩している時間なんて全くありませんでした。やっとの事で全ての仕事が円滑にまわるようになってきたなと思った、ちょうどそのとき、エイドリアンは、彼女を呼び止めようとしました。
忙しさにてんてこまいの彼女は、ようやくエイドリアンが声をかけようとしていることに気付き、彼が座っていたバーエリアの方に向かって歩いて行きました。彼は静かな声で彼女にあることをささやくように伝えたのです。エヴォー二は、この一部始終を他のお客さんにも見られているとは、この時まだ気付いていませんでした(誰が見ていたか覚えていますか?)。そう、彼女は自分がカメラに撮られているなんて知りもしませんでした。
カメラは全てを捉えていた
ローラは、エヴォーニとエイドリアンが会話をしているテーブルの真向かいにあるブース型の席に座っていました。 彼女には彼らが話している内容は聞こえません。もう少し近づいて彼らの会話がどうにか聞こえるように、彼女は耳を澄ませました。
エヴォーニと話すエイドリアンは、少し恥ずかしそうに見えました。どうやら何か予想もしないことが起こる気がして、ローラは、スマートフォンでビデオを撮ることにしたのです。
よく聞こえない
朝食の混雑が続くレストランで、他のテーブルの声を聞き分けるのは、そう簡単ではありません。特に、酸素を抱えたまま話す年老いた彼の声は、かなり注意しないと声として認識できないのです。
エヴォーニは、身を乗り出し、エイドリアンの話す言葉を理解しようと一生懸命努力しましたが、コックの一人が、彼女がいないことによって、レストランの食事の提供速度に遅れが出てきていることに気がつきました。コックは、彼女を呼び戻そうと叫びましたが、エヴォーには彼を無視し、エイドリアンに耳を傾け続けました
彼は食事が気に入らなかったのか?
客が従業員を呼ぶときは、大体何か欲しいものがあるかクレームをつけたいかです。そのため、常連客のエヴォーニが彼女を呼んだのには、おそらく食事が気に入らなかったのだろうと、彼女は考えました。実際に彼は、静かに何かを彼女にささやいた後、食事を彼女の方に押し戻したのです。
エヴォーニは、ハム、トースト、フライドポテト、スクランブルエッグがのったそのプレートをすぐさま、彼に押し返しました。一体、何が起こったというのでしょうか。
他にも見ている人がいた
このやり取りは、長い時間がかかったように聞こえるかもしれませんが、実際はほんの数分程度です。彼女はこの短い時間、エイドリアンの話に集中していました。満員のレストランと空腹の顧客は、彼女とこの年配の男性が話している状況に一瞬注目しましたが、すぐにまた自分たちの話へと戻って行きました。
しかし、ローラはまだ彼らの動向に目を向けていて、引き続き録画も行なっていました。そして、ローラのカメラとは別のカメラも彼らの様子を捉えていたのです。
防犯カメラ
ワッフルハウスのような忙しいレストランでは、防犯カメラはかなり重要です。実際に彼らの座っているこの場所にもCCTVの防犯カメラが設置されていました。ローラは、興味本位で録画をしていましたが、天井からぶら下がっているこの防犯カメラは、意図なくここで起こったことをすべて記録してしまっていたのです。
誰もがその存在に気づくことなく、自然と馴染むように設置されたそのカメラは、後に大きな証拠となるのです。
ローラは、この状況をシェアすることに
ローラ・ウルフは、目の前で繰り広げられたその状況を目にした後、ハッとしました。 そして、従業員であるエヴォーニがお客に向かって、食べ物を突き返しているその状況を、更に何枚かの写真にも収めました。
彼女は、この写真どうするのがいいのか悩んだ末に、Facebookに投稿することにしたのです。この何気ない彼女の行動が、後にエヴォーニの人生を変えることになるとは、この時まだ知る由もありません。
疑問が浮かぶ
ローラが目にしたその状況は、エイドリアンが店員のエヴォーニを呼んだところから始まります。どうやら彼は、健康状態の低下を自覚しており、以前のように自分の身の回りことが思うようにできなくなっているようです。
エヴォーニと話している彼は、どこか恥ずかしそうに見えます。そう、彼は朝食に出されたハムを切るのに助けが必要だったのです。「フォークをもったり、ダンディに自分を保つことは、まだまだできます。」とエイドリアンは後にABCニュースに語っています。「しかし、切ろうとするその姿は、私が誰かを刺そうとしているように見えてしまいます。」と彼は続けました。そう、彼はエヴォーニにハムのカットをお願いしていたのです。
必要ならば助ける
エヴォーニは、ワッフルハウスで起こったその時の状況について話してくれました。「彼は、"手があまりうまく動かせない”と教えてくれた」と彼女はエイドリアンの申し出について語ります。彼女は、この彼の要求をきちんと聞くために、耳を近づける必要があったのです。
「彼の食べ物を切ってあげる必要があったので、ただ頼まれたようにしました。」と彼女はABCニュースに語ります。 エヴォーニは、ハムを一口大に切って、そして彼に渡してあげました。 実際、このような申し出は年配の方が集まるワッフルハウスでは、起こったとしても珍しい話ではないと、彼女はそんなに気にも止めませんでした。そう、この時までは。
ローラのFacebookが既にとんでもないことに
ローラは、目撃した一部始終について誰かと共有したいという思いにかられていました。そして、Facebookが写真や動画を共有するのに最適な場所だと考えました。彼女は、 「全てがよく聞こえたわけではないが、この年配の男性が自分の手はあまりうまく機能しないと彼女に言ったのが聞こえました。」
「彼は酸素を摂取しており、呼吸にも苦労していたので話すのにも苦労していました。 しかし、彼女は、ためらうことなく、彼の皿を取り、ハムを切り始めました。些細なことに見えるかもしれませんが、彼にとっては、他人にこのようなことを頼むのは、かなり勇気が言ったと思います。この世のすべてがとてもネガティブに思える一方で、親切心と思いやりのあるこの行為を一日の始めに見たことは、とても嬉しいです。」
話題になるなんて想像もしていなかった
ローラがまだワッフルハウスにいる間にも関わらず、既に彼女の投稿は大きな注目を集め始めていました。彼女の携帯は、息つく間もなく鳴り続けていました。人々は、エヴォーニの前向きな親切さに心を打たれていたのです。
「私たち全員がこのウェイトレスのように、少しの時間でもお客様を気遣い、手を貸してあげることができたら…」と、ローラは、思いも寄らない反響にFacebookの投稿を閉じることにしました。そう、彼女はここまで反響があるとは思いも寄らなかったのです。
エヴォーニへの圧倒的な賞賛の声
ローラの投稿はどんどん注目を集めていきます。彼女が最初に共有してからわずか数日で、写真は90,000件のお気に入りと50,000件近くのシェアを獲得していました。 人々はエヴォーニの親切な行為に感動し、この心温まる瞬間を自分の友人や家族に共有しました。
エイドリアンもこの投稿で注目された、とABCニュースに語りました。「ワッフルハウスに行った2日後に、知人が私にFacebookで注目を集めているよ。」と教えてくれました。「かっこよく撮られていたかい?」と彼は冗談を言いました。
市長も巻き込んだ話に
テキサス州ラマルケの市長の名前は、ボビー・ホッキングです。エヴォーニの善行に多くの賞賛の声が寄せられ、そのニュースは市長のオフィスにも届きました。彼はすぐにでも彼女に会いたいと思ったのです。そして、その会合は(もちろん)ワッフルハウスで行われるように手配されました。
レストランにはそのイベント用のカメラでいっぱいになりました。彼女は、市長がこの特別なイベントで何を計画しているのか知りませんでした。そう、彼は多くの人の前で彼女を称えたかったのです。
彼女にとって最高の日がここに
その重要な日がやって来ると、記者とカメラマンでいっぱいの職場を、エヴォーニは物珍しそうな顔で見ていました。しかし、少なくとも今回はカメラに撮られることがわかっています!
市長は到着すると、ワッフルハウスのバーの後ろに立ちました。エヴォーニは、あの日朝食をエイドリアンに提供した時と同じ場所に立ちました。そして市長は、これから特別なプレゼンテーションすると発表しました。彼は集まった人々とカメラに、3月8日をラマルケにおける「エヴォーニ「ニーニ」ウィリアムズデー」と宣言することを伝えました。この事態に彼女はかなり驚きました。しかし事態は更に大ごととなるのです。
好意のお返し
エヴォーニの話がインターネット上で話題になり、人々は彼女についてもっと知りたいと思いました。この女性はまだ若いのに、なぜワッフルハウスで働いていたのだろうか?と。
彼女は、大学に通う十分なお金を貯める為に一生懸命働いていました。それを知った人々は、彼女の学費を集めるためにGoFundMeのアカウントを作り、クラウドファンディングでお金の寄付を募ったのです。そして、とある有名な人の耳にも、この募金活動のニュースが入りました。
多くの人がエヴォーニを助ける為に立ち上がった
資金を集めるGoFundMeページでは、彼女が大学に通うことができるように寄付する人々が後を絶ちませんでした。彼女の町の人々だけでなく全国の人々が、この親切なワッフルハウスのウェイトレスに何か少し貢献できないかと募金をしたのです。
そして、ヒューストンにあるサウス・テキサス大学では、一部のスタッフから彼女が大学に通う目的について疑問が上がりました。そして、その答えを聞いて、彼らは特別な方法で彼女を支援できないかと考えたのです。後にわかる大学内の重要人物である彼は、 「エヴォーニの親切な行為を、少しでも彼女の生活に役立たせてあげたかったと語ります。」
重要人物はそこにいた!
ワッフルハウスでのイベントには、エイドリアンとローラのどちらも彼女を応援するために出席していました。そして、そこにはエヴォーニが夢にも思わなかった人も参加していたのです。
そう、先ほど話にもあったサウス・テキサス大学の学長です! 彼は後にインタビューで言ったように、エヴォーニに会う機会を自ら望み、「この善行が見過ごされないことを彼女に伝えたかった」と言いました。
予期せぬ発表
市長によるプレゼンテーションの後、サウス・テキサス大学の学長は、ワッフルハウス・バーの後ろにかまえていました。そして、彼は誰も想像もしていなかった贈り物を彼女に与えました。
ジャンボサイズの小切手を手に、学長は大学がエヴォーニになんと16,000ドル相当の奨学金を授与すると発表しました! エヴォーニ、そしてほとんどの観客は、このサプライズに驚きと喜びの涙を流しました。
まさかの事態
この援助は、エヴォーニにとって最高の幸せをもたらしました。ローラとエイドリアンでさえも、彼らの些細な日常の行為がワッフルハウスのウェイトレスの将来において、重要な役割を果たすなんて考えられなかったはずです。
ローラは、記者にこう伝えました。「あの日、ここはとても忙しかったのをご存知ですか?それなのにも関わらず、彼女は彼を通り過ぎることなく、熱心に彼の要望に耳を傾け、その問題を解決しようとしました。」エイドリアンも、彼女がしてれた行為によって、助けられたと付け加えます。
他の日だってきっと同じことをしたわ
謙虚なエヴォーニは、"皆、誰かが困っていれば、自然と他人のことを助けるはずだ”と言いました。彼女は、賞や奨学金、メディアに注目してもらうことなんて何もしていないと話しました。
彼女は、地元の記者団にも「こんなに讃えてもらうようなこと、私はしていないし、知らない。おそらく、どんな日であっても誰かに求められれば同じことをしたと思う。」と恥ずかしそうに言いました。見知らぬ人に助けを求めた時に、拒否されたことがある人は、この意見におそらく反対するだろう。このような精神が自然に備わっている彼女は、今後の未来に明るい希望を照らしてくれるだろう。