夫から受け取った人生最悪の手紙。しかし、直後に訪れた衝撃のニュースとは
どちらも献身して愛情を注ぐことが出来るなら、結婚というのは素晴らしいものです。しかし、残念ながら、「誤った」パートナーと一緒になると結婚は壊滅的なものにもなり得ます。ローラさんという女性は、自分は結婚に成功したほうだと思っていたものの、実際にはそうではなかったことがわかりました。旦那からの怪しい手紙を発見した直後から、自分の「末永く続く幸せ」の結婚生活が崩れ去っていったのです。ただローラさんは、絶望的なニュースのみに見舞われた訳ではありませんでした。さて、それではローラさんの完璧な「仕返し」を見ていきましょう。
結婚生活
ローラさんとジャックさんは、ごく普通のカップルでした。若くして出会い、恋に落ちて、結婚に至ります。表面的には全てがうまくいっているように感じられましたが、人生とはわからないもの。
ローラさんは、ジェックさんに対して深い愛情を感じていました。今まで誰にも感じたことのない感情で、ジャックさんもローラさんに対して同じように感じていたと言います。すべてが変わったのは、衝撃のニュースが発覚してから。ジャックさんが、ローラさんの妹と付き合うことになった経緯を説明した手紙をローラさんに残していったのです。
いつも通りの日
ローラさんにとっていつも通りのある日。朝起きて、万事うまくいっていると思い込み、仕事へ向かいます。ジャックさんも仕事へ行くため、お互いにいってらっしゃいを言って、ローラさんは夕食時にまたジャックさんに会えると思い込んでいました。
家に帰った時に目にしたのは、自分の名前が書かれた手紙。手紙の内容によって、ローラさんの人生は一転してしまいました。ジャックさんはローラさんの妹との浮気を告白し、もうローラさんとは一緒にいられないと言い切ったのです。
最悪のタイミング
悲しいことに、手紙を見つけるまでは気分最高だったローラさん。ジャックさんと共有するのが待ちきれない最高のニュースがあったのです。
旦那さんが自分より妹を選んだという内容の手紙を読むなんて、誰も望まないことですよね。特に、2人が7年の時を共にしたことを考えるとなおさらです。ジャックさんは「誇ることが何もない」、最後の2週間は自分にとって最悪だったと、手紙で語ります。
詳細な理由
ローラさんがさらに手紙を読み進めると、別れたい理由が詳細につづられていました。ローラさんのせいで自分が大事にされていないように感じただけでなく、褒めたり見た目の小さな変化に気づいたりしてくれなかった、と書かれていたのです。
ジャックさんは、「愛してる」と言わなくなったことにも不満を感じていました。手紙には細かくつづられており、ローラさんが2分で夕食を済ませてそのまますぐ寝てしまったという詳細にまで触れられています。ジャックさんは、もうローラさんとのつながりを感じられなくなっていたのです。
ジャックさんからの大胆発言
ジャックさんの手紙は、「もうローラさんからの連絡を一切受けたくない」という内容で締めくくられていました。今の州に留まる予定はなく、出来るだけすぐローラさんの妹とウエストバージニア州へ引っ越すというのです。
ジャックさんは新しい人生を始める気満々。ものの数分で、最高の日から人生最悪の日に早変わりしてしまいました。ローラさんは腰を下ろして、起った内容を消化しようとします。
起こったのはこれだけではない
もちろん、旦那さんがもういなくなってしまったということは絶望的ですが、ローラさんには希望の光がありました。ローラさんが仕事を辞めたことには理由があるのです。その理由というのが、大金を手にしたということ。
熱心な宝くじ信者だったローラさん。その日はローラさんにとって大事な日だったのです。ジャックさんは、ローラさんが大金を手にしたとは知らず、その日に彼女の元を去ったのです!
出会いは大学
ジャックさんとローラさんが初めて出会ったのは大学時代。しかし、当時は特別なつながりがありませんでした。試験のために勉強して図書館でたくさん一緒に時間を過ごす程度。人生における大事な存在になるとはまだ思ってもみなかったのです。
最終的にジャックさんは大学を中退し、バーで働き始めます。そのため、ローラさんの両親はジャックさんのことをよく思っていませんでした。ローラさんには、ジャックさんには欠けているような行動力があったのです。
ロミオ&ジュリエット状態
ジャックさんとローラさんは、出会った時は全く別の人生を送っていました。ローラさんは裕福な家庭出身で、ジャックさんはアルバイト店員で大した野心もありません。
ローラさんの両親は、必死でジャックさんとの結婚を阻止しようとしましたが、ローラさんは両親の言葉に耳を貸しませんでした。両親はローラさんがどれだけ愛情深いか理解しており、この男のせいで傷ついては欲しくないと思っていたのです。しかし、ジャックさんとローラさんの決意は固いものでした。
新しいことに
この時点では、ジャックさんとローラさんの愛をさらに燃やす要因があったのです。1つ目は、親が反対していたということ。これによって、ローラさんはさらにやる気が出てきてしまいます。2つ目に、ローラさんは恋をして盲目になっていたのです。
学位の取得後、ローラさんはジャックさんの小さなアパートに住み始めます。水漏れのするトイレに、古いカーペット。ペンキの塗り直しも必要です。それでもくじけないローラさんを、ジャックさんは運命の人だと思っていました。
辛い状況を乗り越えて
ジャックさんはちょくちょくと単発の仕事をしていただけなので、財政状況を握っていたのはローラさんです。ローラさんの両親は裕福だったのものの、2人にとってお金は常に問題でした。
ローラさんの親は、「ジャックさんがお金を浪費するから」と2人を財政的に支援することを拒否しました。これこそ、ローラさんが毎週宝くじを買っていた理由の一つ。いつの日か、大当たりして金持ちになることを夢見ていたのです。
コミュニケーションがあれば…
関係性の中で、夫婦にもアップダウンがあるのは当たり前です。結婚生活を長続きさせるためには様々なレベルの献身と努力が必要であり、お互いのコミュニケーションがカギとなります。
ジャックさんは、コミュニケーションをしてきませんでした。ただ、ローラさんも彼にそうしてもらいたいとは思っていなかったのです。ローラさんは、「間違いを冒した」と後悔させるために、ジャックさんに宝くじに当たったことを知らせたいと思っていました。何年挑戦し続けて、やっと当たった宝くじなのです。
距離を置くように
夫婦が富を手に入れるために努力する、という結末になっていたかもしれないこのストーリー。現実は違います。時がたつにつれてジャックさんとローラさんの関係は崩れていき、もはやローラさんが修復することもできなかったでしょう。
美しいものにも終わりはやってきます。成長していく中で、2人の人間の互換性にも様々な度合いがあります。その中で関係を続けていく夫婦もいれば、別れを決断する夫婦もいるわけです。
辻妻が合わない...
手紙に至るまでは、ジャックさんにとってローラさんは全てでした。ローラさんが育ってきたような生活をさせてあげることは出来なかったものの、ローラさんが必要としていたのはジャックさんだけだったのです。
付き合い始めから、資金に関しては気を付けていた2人。だからこそ、ジャックさんを経済的に支援するために、ローラさんはアパートの近くのレストランでウェイトレスとしてはたくことに同意したのです。ローラさんのチップのお陰でそこそこの暮らしができるようになっていきましたが、数年後、ローラさんは疑惑を感じ始めます。
直感を感じていたローラさん
ジャックさんを愛していたローラさん。だからこそ、彼とたくさんの時間を過ごしていました。常に彼の仕事場のバーに行って、少しでも一緒にいられる時間を増やそうと努力していたのです。しかし、ローラさんはすぐに彼が浮気をしているのではないかと疑うようになります。
バーの人達が、ローラさんに対して変な目線を向けてくるようになったのです。しかし、ローラさんは自分の疑念を信じたくはありませんでした。結局、その疑念を拭い去って、あまり仕事中の彼に会いに行かないように勤めます。
ラッキーガール
そんな中、ローラさんは宝くじに挑戦し始めます。毎回はずれでもです。しばらくして、当選を手にしたローラさん!まさに夢のようです!
興奮が冷めやらないローラさんは、ジャックさんと一緒にお祝いしようと、真っ先にハワイへの航空券を2枚購入しました。しかし、彼からの手紙を見てすべてが変わります。ローラさんは、ジャックさんにお金を1銭も渡すまいと考えました。
高額当選
ジャックさんが残した手紙に激怒したローラさんにも、まだ希望はありました。宝くじに当選することはよくあることではありません。このお金で何ができるか、と考えてみたのです。
頭に浮かんできたアイディアは、新居の購入、世界旅行、高級車の購入。どれも突拍子もないことに感じられました。それに、ローラさんには他にも考えることがいっぱいあったのです。はじめにローラさんがしたかったのは、ジャックさんに返事を出すことでした。
手紙を書いたローラさん
ジャックさんはローラさんに直接会う気がないようなので、彼がしたように手紙を書くことにします。何を言うべきか、何を伝えたらいいのか、長い間考えました。
一つ一つの言葉を身に沁みさせるために、ジャックさんが最低の夫である理由を詳細に綴ることにしました。まず、ジャックさんは非道です。不満なら、浮気をする前に別れるべきです。
ジャックさんの要点にも触れて
ローラさんは、ジャックさんの手紙の内容すべてに触れました。ジャックさんはローラさんがもう褒めてくれないと書いていたので、「いいところがないのに褒められない」と切り返し。これはイタイ!
最後も勢いよく〆たローラさん。ジャックさんと時間を過ごす代わりにテレビを見ていたのは、ネガティブなことばかりを言うジャックさんを避けるためと説明したのです。
本当のジャックさん
手紙の中で、ジャックさんは自分の新しいパンツにローラさんが気づかなかったと文句を垂れていました。その返答として、これこそ2人の結婚生活の分岐点のひとつだったと説明したのです。
何が皮肉かというと、パンツの値段がローラさんが妹に貸したお金の額とおぼ同じだったということ。その瞬間、ローラさんの勘が騒いだのです。ジャックさんと妹の間に何かあるのではと疑っていましたが、やっぱり思い過ごしではなかったのです。
重大な発表
ローラさんは、ジャックさんに宝くじのことを知らせてやりたいと思っていました。手紙の中で、1500万ドルに当選し、もう一度ジャックさんを知るためのきっかけにしたかったということをすべて話します。
しかし、それはもう実現しません。ジャックさんにも妹にも一銭も渡さないつもりです。ローラさんは手紙にサインして、新しいカップルの幸運を祈りました。
複雑な心境
ローラさんは、裏切りと拒絶の感情に苦しみます。お金で何かするよりも、まずこの感情に対処することが必要だと感じていました。
法的には2人はまだ結婚しているため、ローラさんはどれくらいの額がジャックさんに渡るのかを知らなくてはいけません。そこで、弁護士に相談をして、すべてを説明してもらいました。弁護士は、このような状況で法律がどのように機能するかを細かく教えてくれたのです。
実はカール...
ジャックさんが書いた手紙は、彼が宝くじの当選金から一銭も受け取る権利がないことを意味すると、ローラさんの弁護士は説明してくれました。向こうから、「もう2度と会いたくない」と言っているわけですから、自業自得です。
さらにローラさんにとって有利なことに、彼女には他にもジャックさんに伝えることがあったのです。妹のカーラさんは、実はカールとして生まれたということ。ローラさんは、「それでも問題ないといいけど!」と付け加えました。なかなか衝撃のヒミツの明かし方ですよね。
ラッキーなローラさん
宝くじに当選するかもしれないという可能性は、おそらく一生当選しないだろうとわかっていても、ローラさんにとってワクワクすることでした。遂にやってきた運命の日ですが、ローラさんはこの上なくラッキーです。
この日は、「騒がしい」日と言えるのではないでしょうか?1500万ドルに当選して、夫に手紙で別れを告げられて…。妹に乗り換えて奥さんを捨てるなんて、ひどいですよね?相手にお世辞を言うのは、それほど大事なことなのでしょうか?
ハワイでの休暇
起こったことは、ローラさんにとっては思ってもみないことでした。妹に乗り換えるために夫に捨てられるなんて、想像もできませんよね?昼ドラのような展開です。
さらに、妹が元弟であったということを知らないジャックさんにとって、ローラさんの手紙は最高の「復讐」になったのではないでしょうか?すでにハワイへの航空券を購入していたため、ローラんさんは得たばかりの自由を手にハワイへ向かいます。
前に進んで
事件が起こる前、心の底で「浮気しているのでは…」とジャックさんを問い詰めたかったローラさんですが、彼に対して忠実でいることにします。結果的に、このローラさんのジャックさんへの愛情のお陰で、ハワイへのフライトが実現したと言えるでしょう。
もちろんローラさんの勘は正しく、期待した通りにはなりませんでしたが、辛くても新しい自由を謳歌する時です。時が経てば傷は癒えます。それに、ハワイはローラさんのすぐ目の前です!
よりよい人生を求めて
ローラさんの身に起こったことはなかなか信じがたいことですが、それでも彼女は幸せを感じていました。ジャックさんとカーラさんに対する自分の疑惑は正しかったのです。2人の関係に対して自分が正しかったということで、慰めのようなものを感じていました。
ローラさんは人生を変えるチャンスを得たのです。空港へ向かうタクシーの中で、元夫が彼に相応しい運命に直面して、自分は自由な女性になったことに喜びを感じていたローラさんなのでした。
23年後に真相を知った奥さん
リンダさんとリチャードさんは、幸せな普通の夫婦でした。インディアナ州のインディアナポリスに住んでいた2人。リンダさんはこの地で2人の息子、マシューさんとダグラスさんを出産します。夫婦はお金や子どもに関して時々言い争いにはなったものの、深刻なケンカになることはありませんでした。
マシューさんが9歳、ダグラスさんが6歳の時、すべてが変わります。家族のヒミツが明るみになったのです。真実を知る人は1人しかいません。どうやら、夫のリチャード・ホーグランドさんは、重要な何かを隠しているようなのです。
ひどいヒミツ
数日の間に、リチャードさんは家族から距離を置くようになりました。奥さんのリンダさんは彼の様子に気づきましたが、勝手にその理由を自分の中で作り上げて納得していたのです。幸せな家族は崩壊しかけていました。
かわいそうな息子たちは、自分達の生活に何が起こっているか、気づいていません。どうやらリチャードさんはこの「問題」を、解決することができない、話すこともできない、と思っているようなのです。思い返せば、リチャードさんが家で家族といる時、他の人が予想もしなかった何かを企てていたのかもしれません。
控えめな電話
1993年2月、リンダさんはいつも通り仕事へ向かいます。医療関係のオフィスに勤務していたリンダさんの元に、2月10日午後4時45分、リチャードさんが電話を入れました。体調が優れず、救急救命室に行かなければいけないという内容です。
リンダさんはリチャードさんのいる病院に向かうと伝えましたが、リチャードさんは「待っている時間が惜しい」と答えます。リンダさんは、すべてが変わってしまうことなど知る由もありませんでした。1日を過ごし、仕事後に下の子のダグラスさんをデイケアに迎えに行きます。家に着いたのは、午後5時25分。すると、リンダさんは家に一人で置き去りにされたマシューさんを発見します!
残された生活
リンダさんは地元の病院に連絡を入れますが、リチャードさんがいたという記録はどこにも残っていません。リチャードさんが出て行った形跡は一切なし。歯ブラシは洗面所に、服はクローゼットに置き去りにされたままで、パスポートには触れた形跡もありません。「2月で寒かったの。でも、彼はコートすら持っていかなかったわ」
一瞬にして、すべてうまくいっていた生活が崩れ去りました。リチャードさんには離婚歴があり、リンダさんと出会ったときに彼女に恋をしたのです。彼のビジネスはうまくいっていたため、休暇は豪勢なものでした。そのような生活を一瞬で捨てることなんて、出来ないと思いたいですよね?
崩れ去った生活
1時間もしないうちにかかってきた1本の電話で、家族はショックを受けます。電話の相手はリチャードさんでした。「もうこんな生活は出来ない。僕がいない方が君たちにとっていいはずだ」とだけいい放ち、電話を切ってしまいました。リンダさんは言い返すこともできません。
数時間後、再び電話をかけてきたリチャードさんはおかしなメッセージを残していきました。「刑務所には行きたくない。だからもう戻らない」。24時間もしないうちに、家族はバラバラになり、リチャードさんの人生は一変しました。1993年2月10日のその日、リチャードさんは失踪したのです。
逃げたリチャードさん
最後の電話の数日後、リチャード・ホーグランドさんの車が乗り捨てられた状態で発見されました。様々な航空会社がフライト記録を確認。彼の名前はどこにも見当たりません。リチャードさんからはさらに2度の電話があったものの、どちらもコレクトコール。リンダさんが電話記録を確認すると、1度はベネズエラ、もう1度はアルバからかかってきていました。
家長が消えてしまった家族にとって、これ以上最悪の状況などあり得ないように思われました。リンダさんと2人の息子は夫で父親のリチャードさんの失踪を乗り越えようするなか、警察がリチャードさんのミステリアスな失踪を調査し始めます。
知られていなかった経済問題
その春、リチャードさんは息子のマシューさんの10歳の誕生日に連絡を寄越しました。50ドルが封入されたカードです。数か月後、ダグラスさんの7歳の誕生日にも同じように手紙を寄越してきました。これが、リチャードさんからの最後の連絡です。
失踪前、リチャードさんは家族には知られていたかった財政問題に苦しんでいたようです。すべてのクレジットカードがほぼ限度額に達しており、銀行からローンを得るためにリンダさんのサインまで偽造していたことが発覚しました。リンダさんは離婚を申請。裁判長は、未払いの税金、様々なローンと借金、26個のクレジットカードの支払いをリチャードさんに命じる判決を下します。
ショックを受けた家族
息子に送られたカードには次のように書かれています。「愛してる。会いたいよ。ママに助けてもらってお金を使うといい。少し貯金してもいいかな。いつかまた会えるからね。かなり時間が経ってるから、お前たちは大分成長してるんじゃないかな?ママのこと気にかけてあげてね。じゃぁ。パパより」
当時、リチャードさんの息子たちは、これが父親からの最後の言葉であるとは思ってもみませんでした。「最初思ったんだ。『そっか、ずっとこんな感じじゃないんだ。パパは帰ってくるんだ』って」と、マシュー・ホーグランドさんがABCに話しています。マシューさんの母親であるリンダさんは、次のように話します。「彼には絶望させられたわ。何も残さずにいなくなってしまったの。私は心を打ち砕かれたわ」。
助けがない
リンダさんは家や車のローンを支払うことができず、壁が迫ってきているような感覚に襲われました。そんな時、警察がリチャードさんの失踪に関してリンダさんを尋問し始めます。警察はリンダさんがリチャードさんの居場所と彼の身に起こったことを知っている、と示唆してきたのです。
リンダさんは、何度もリチャードさんの居場所は知らないと警察に話します。リチャードさんから電話を受けて、「もう戻らない」と言われたことも警察に話しました。それでも警察はリンダさんを疑い続け、複数回の尋問を行います。しかし、リンダさんの話は揺らぐことがありません。
疑われたリンダさん
最終的に、刑事のひとりが、リンダさんはリチャードさんの居場所を知っていると主張。この刑事は、これは経済犯罪であり、リンダさんは最終的に子供を連れてリチャードさんと合流するつもりだ、と言い張ったのです。何度も警察からの聴取を受けたリンダさんでしたが、彼女にはもっと大きな問題が迫っていました。財政問題です。
リチャードさんんが残した金銭的なダメージが、リンダさんに重くのしかかってき始めていました。これ以上を支払いを続けることができず、破産申請をしなくてはいけない状態だったのです。2人の子供を抱える女性としては、最悪のシナリオ。しかも、消えた旦那こそ、一家の稼ぎ頭だったのです。
つけられていた家族
家族と残って自分が引き起こした財政難を処理するのではなく、リチャードさんは楽な道を求めて失踪することを決意したのです。そのお陰で、家族は悲惨な目に遭うことになりました。リンダさんは、この期間中自分の親に頼るしかありません。
リンダさんは、自分が監視されていることを示唆する不思議なサインに気づき始めます。その感覚は、時と共に増してきました。リンダさんは、自分をつけまわしている様子の怪しい人、家の前に止められた車、一度開けて封をし直した郵便物、動かされたように見える家の物に気づくようになります…。
隠れることにした家族
とある年の2月には、固定電話に設置されていた録音機が父親によって発見されます。リンダさんはリチャードさんが道義に反するような人達と関わって、街を去る羽目になったと信じて疑っていませんでした。「こういう状況にいると、かなり被害妄想になるの」と、リンダさんは話します。銀行は最終的に家を差し押さえ、同時に車も差し押さえに遭いました。
その年の10月、リンダさんと家族はインディアナ州のマコーズビルに身をひそめることを決意します。自分自身と息子たちを安全に守ろうと必死だったのです。特に、リチャードさんが怪し気なことに関わっていたのであればなおさらです。すべての請求書は親名義にして、自分の居場所を突き止められないようにしました。さらに、子どもたちを友人の家からスクールバスに乗せました。すべて、住んでいる場所を誰にも知られないようにするためです。
被害妄想
リンダさんと家族は、6カ月間身を隠した生活を送っていたものの、不安はぬぐえません。何年もの間、恐怖に満ち溢れた被害妄想の生活を続けてきました。しかし、問題はそれだけでは終わらなかったのです。リンダさんは、まだ警察から監視されていました。夫の失踪後、リンダさんと家族に安息はありません。
愛を誓った相手に、リチャードさんはどうしてこのようなことができたのでしょうか?幸い、リンダさんは親からの支援を受けることができています。ABCとインタビューの中で、リンダさんの母親はどれだけ辛かったかを吐露しています。
再び現れたリチャード・ホーグランド
2016年、真実が遂に明らかになりました。リンダさんの元にフロリダ州のパスコ郡保安官事務所の、アンソニー・カーディロ刑事から電話が入ったのです。「リチャード・ホーグランドさんをご存知ですか?」リンダさんは耳にしたことが信じられませんでした。
どうやら、家族が辛い思いをしている間、リチャードさんはフロリダのウェスト・パーム・ビーチに移り住んでいたことがわかりました。生きていて、しかも再婚済み。新しい奥さんとの間に息子までいます。カーディロ刑事は、リチャードさんを拘留している旨をリンダさんに伝えました。亡くなっている人の身分証を使用して、逮捕されたのです。
盗まれた身分証明書
家族の元を去った後に家を借りたリチャードさんは、そこで死亡診断書を発見。これは、1991年に亡くなったテリー・シマンスキーさんという人の診断書でした。この瞬間、リチャードさんは家族とのつながりを一切絶って、別の人になりきることを決意したのです。
テリー・シマンスキーさんになることを決意したリチャード・ホーグランドさん。新しい生活をはじめ、仕事、家、新しい奥さんまで見つけました。ウェスト・パーム・ビーチでの生活を満喫していたようです。新しい生活で得た人達は、何一つ知らない状態でした。
逆手にとって
リチャードさんは、エドワード・シマンスキーさんから家を借りていました。まだテリーさんの死を悲しんでいる、彼のお父さんです。リチャードさんが借りていたのは、フロリダのポートセントルーシーのシマンスキーさんの家の中にあるスタジオアパートメント。傍にいたこともあり、エドワードさんから息子のテリーさんの思い出話を聞くことは簡単でした。テリーさんの出生証明書を手に入れた後、リチャードさんがこの情報を利用するとは、エドワードさんは思ってもみなかったのです。
テリーさんの妹であるシンシアさんは、リチャードさんの逮捕後、次のように語っています。「父はテリーのことを心から悲しんでいました…父は被害者です。23年経っていても、真実は明るみに出るものなんです」。
逮捕
全てが明るみになったのは、テリー・シマンスキーさんの実の甥がancestry.comにて家族に関する研究を行った際。調査の結果、甥はおかしなことを発見したのです。何年も前に亡くなっているはずのおじさんが、再婚して機長の資格を取っていることになっています。
甥は関係当局に連絡を入れ、そこから真実が明らかになっていきました。2016年7月、ダグラスさんの誕生日の月、警察が「テリー・シマンスキー」さんの自宅へ向かい、リチャード・ホーグランドさんを逮捕します。保釈金25,000ドルでパスコ郡刑務所に収容されました。
リチャードさんの行動の影響
何年も経ってから、自分の犯した罪を償うことになったリチャードさん。残念ながら、インディアナでのリチャードさんの盗難の罪に関しては、告訴することができません。元々の罪を証明する宣誓供述書を見つけることができなかったのです。
もちろん、リンダさんのサインを偽装して詐称したローンの書類、盗難クレジットカードに関する罪が、含まれないということです。インディアナ州では、盗難における出訴期限が5年と決まっています。過去の罪を問われることがなかったリチャードさんですが、それでも死亡した男性の身分を偽ったことで告訴されました。
破壊された2つの家庭
テリー・シマンスキーとして生活する間、リチャードさんは再婚し、現在19歳になる息子を授かりました。リチャードさんの2つの家族は、兄弟たちを含め会ったことがありません。リンダさんは次のように話します。「心中お察しします。あちらの家族の状況が痛いほどわかります。同情と共感を感じています」
リチャードさんは、自身のひどい行いが原因で、1つならず2つの家族を破壊したのです。一方リンダさんの弁護士であるトム・マークルさんは、「リチャードさんは未払いの200万ドルの養育費を支払うべきだ」と主張して、賠償金を勝ち取ろうと奮闘しています。リチャードさんが他人と偽って生活していたことに対する賠償金の支払いは、ほぼ確実です。
リチャードさんの新しい家庭
テリー・シマンスキーさんとして偽って生活していたリチャードさんは、メアリー・ハスラー・ヒックマンさんと1995年に結婚。2人はフロリダ州のザファーヒルズに腰を下ろしました。さらに息子が生まれ、息子はリチャードさんの逮捕時にはティーンエイジャーとなっていました。
リチャードさんのフロリダの家族は、この状況に関して比較的口を閉ざしています。『タンパ・ベイ・タイムズ』によれば、のちにメアリーさんが、リチャードさんの本当の身元に関する書類、ルイジアナ州の家の所有権、倉庫の鍵が入ったブリーフケースを発見したと報道しています。警察官たちは次のように話しています。「息子はショックをうけています。リチャードさんは自分の父親だったのです。同じ血が流れているのです。怒りと悲しみと何故という感情がごたまぜになっているようですね」。
息子の受難
リチャードさんは、数年間息子たちにカードを贈ってはいますが、彼の家族が経験したことは無視できません。息子のマシューさんとダグラスさんは、父親の行動によってひどく傷ついたのです。マシューさんは母親の支えとなりましたが、ダグラスさんは父の失踪にかなりの影響を受けました。ダグラスさんは、のちにドラッグ関連の罪で何度か起訴されています。
ダグラスさんは父親に手紙を書いています。『ピープル』誌が入手した手紙には、このように書かれていました。「親父のせいでかなりの怒りを抱くようになって、自分にいけないところがあったのかと思うようになった」。最終的に、ダグラスさんはドラッグに依存し始めます。父親のことは許すが、どうしても「なぜ?」という疑問がぬぐえないと話しています。
まだ説明はなし
秘密が明かされてから、リチャードさんは話すことを拒み、失踪の理由を明かしていません。財政的に困窮していた状況を示す主張につながるような返答や、リンダさんのサインを偽造した理由を一切明かしていないリチャードさん。リチャードさんの行動には、テリーさんの家族も傷つけられています。特に、リチャードさんがテリーさんの父親と知り合いだったとなればなおさらでしょう。
テリーさんの父親は自分の心の内をリチャードさんに明かして、その「お返し」に息子の死亡診断書を盗まれたのです。リチャードさんが自分の非道な行いやあれだけ逃げたがっていた理由を明かす可能性は正直低いでしょう。わかっているのは、どれだけ逃げても真実はいつか明るみに出るということです。