世にも恐ろしい世界で最も危険なヘビとは
ヘビには何かと悪いウワサがつきまとう。アダムとイブの物語しかり、世界中の多くの文化でも、ヘビは卑劣で危険な生物だと認識されている。多くのヘビは比較的無害であるにもかかわらず、なぜヘビが危険なのか、納得させる本当に怖いヘビもいる。
こうしたヘビは猛毒を持ち、咬みつかれたなら30分以内に死んでしまう。中には7メートルも離れたところから、正確に目を狙って毒を吐くヘビもいる。
ブームスラングは美しい緑だが、毒がある
ブームスラングは最も美しい色をしたヘビの一種ではあるが、猛毒を持つ。このエメラルドグリーンのヘビはサハラ以南のアフリカに生息している。このヘビは口を180度開けることができ、顎の後ろにある牙を使って毒を注入することができる。
毒が効き始めるまでに数時間かかるため、咬まれてもヘビに毒があったことになかなか気づかない。こうして症状が出るまでに時間がかかるために、処置が必要だと気づかず、気づいたときには手遅れとなっている。
タイパン、およそ30分ほどで死に至らしめる
タイパンはオーストラリアとニューギニアに生息するヘビの一種で、オーストラリアに生息するヘビの中で最も長く、その毒は陸生の毒ヘビの中で三番目に強い。成長するとおよそ2メートルの長さになり、重さはおよそ7キログラムほどにもなる。これまでに発見された中でも最も大きかったものは、なんと3.3メートルもあったという。
このヘビの大きさも怖いが、何よりも怖いのはその毒だ。かなり猛毒で、咬みついてから30分程度で相手を死に至らしめる。
ブルーマレーシアサンゴヘビ、殺し屋を殺すヘビ
ブルーマレーシア・サンゴヘビは世界で最も美しい色のヘビの一種だが、それと同時に猛毒を持つとして知られている。その強力な毒は獲物の神経を一度に麻痺させてしまうという。つまり、このヘビに咬まれると、体全体がけいれんし、麻痺状態になる。その後、驚くほど速く死に至るのだ。
ブルーマレーシア・サンゴヘビの猛毒はあまりにも強力であり、他の毒ヘビを捕食することからも「殺し屋を殺すヘビ」として知られている。
首の周りに輪っかの模様があるヘビは、見かけだおし
一般的に、首の周りに輪っかの模様があるリング・ネックヘビのように、鮮やかな色の動物はとてつもなく危険だと言える。ただ、このヘビの場合、鮮やかな色は見かけだおしだ。リング・ネックヘビは毒を持つが、人間には無害であると考えられている。
にもかかわらず、このヘビが本稿で取り上げられているのは、このヘビの獲物の捉え方による。獲物を見つけるとすぐに襲いかかり、獲物に巻きつく。そして締めつけると同時に咬みついて毒を注入する。
アナコンダ、狙ったものは逃がさない
アナコンダは世界で最も大きなヘビの一種で、その巨体で獲物を粉砕する。唯一、救いがあるとすれば、このヘビはそんなに攻撃的ではない、といったところだろうか。
しかしながら、腹が減っているアナコンダほど手のつけられないものはない。記録に残っている最大のアナコンダは、8.5メートルもあったという。この巨体を満足させる獲物がどのくらいの量であるのか、想像にかたくないだろう。
フィリピンコブラ、咬むだけでなく毒を吐く
単に毒ヘビに近づかなければ危険はないと思っているのであれば、それは大間違いだとフィリピンコブラが教えてくれるだろう。フィリピンコブラは咬むだけでなく、唾を吐くように毒を吐くが、3メートル以内であれば正確に狙って毒を飛ばすことができるという。このコブラの毒が、たとえば体液や血液と混ざって体内に入りこんでしまったならば、頭痛や吐き気、嘔吐、下痢、めまいを引き起こす可能性がある。
フィリピンコブラは、沼や森、林や畑に生息し、音を立てることなく獲物に近づくという。
キングコブラの毒はゾウをも倒す
キングコブラは世界で最も大きい毒ヘビだ。体長3~4メートルにまで成長するが、記録上、最大のキングコブラはおよそ5.8メートルもあったという。人間でも咬まれた場合にはすぐ処置をしなければ死にいたるが、キングコブラの大きさからもどのくらいの毒を体内に保有しているかお分かりいただけるだろう。実際、ゾウをも殺してしまえるほどの毒を持っている。
だが、むやみに怖がることはない。というのも、キングコブラの獲物は他のヘビだからだ。
ブラックマンバ、地球上で最も恐るべきヘビ
ブラックマンバは非常に強烈な神経毒とその量によって、世界で最も恐るべきヘビとして知られている。わずか1匹のブラックマンバが持つ毒で、10人もの人を殺すことができる。しかも、ブラックマンバは何度も咬みつくために、他のヘビよりも多くの毒を獲物の体内に注入できる。
ブラックマンバはあまりにも危険なヘビであることから、映画「キル・ビル」にも登場し、さらに元NBA選手のコビー・ブライアントのあだ名としても使われた。
カイサカ、恐るべきヘビに挙げられる理由は攻撃性ではない
猛毒ヘビの中にはそんなに攻撃的ではないものもいる一方で、一般的にカイサカは世界で最も攻撃的なマムシの一種だ。カイサカは南アメリカやカリブ海に生息し、イエロー・ビヤード・スネークとしても知られている。
このヘビが特に危険だと言われるのは、コーヒー農園やバナナ農園にいるネズミなどの齧歯動物を捕食するために、農園で何時間もじっと身を隠し、作業員らがヘビの存在に気づく前に咬みつかれるからだ。
ヒガシダイヤガラガラヘビ、脅威を感じたときのみ攻撃してくる
最も大きなヘビというわけではないが、北アメリカで最も恐れられているヘビはヒガシダイヤガラガラヘビだろう。フロリダ州やノースカロライナ州、アラバマ州、ミシシッピ州、ルイジアナ州に広く生息している。咬まれると「熱い2本の皮下注射」を打たれたような感じがするという。この毒ヘビに咬まれると激痛を伴って出血し、場合によっては死に至る。
幸い、ヒガシダイヤガラガラヘビは攻撃的なヘビではない。攻撃してくるのは、このヘビが追いつめられたり、脅威を感じたときだけだ。そのため、この独特な灰色と黒、黄褐色のヘビを目撃したなら、そーっと逃げよう。
ニシダイヤガラガラヘビ、ヒガシダイヤガラガラヘビよりも危険
ニシダイヤガラガラヘビは北アメリカでも最も有名な毒ヘビの一種だ。アメリカ南西部ではよく目撃されており、さらにはアリゾナ州のMLBチームのロゴにもなっている。ヒガシダイヤガラガラヘビと比べると、ニシダイヤガラガラヘビは一回り小さく、黄褐色部分が多い。
さらに、ニシダイヤガラガラヘビの毒腺は大きいため、一度にたくさんの毒を注入することができる。ただ、このニシダイヤガラガラヘビもさほど攻撃的ではないことが救いだといえる。
インドコブラにも猛毒があるが、ヘビ使いの言うことをきく
このコブラは最もよく知られているヘビの一種だ。ヒンドゥー教の神話や伝説でよく登場するのが、このインドコブラだ。また、ヘビ使いが音楽で「操る」のも、このヘビだ。
インドコブラはこれまでにもよく見聞きされているヘビではあるが、猛毒を持つ恐ろしいヘビだということには変わりない。インドコブラが持つ毒は、成人男性を麻痺させるほど強力で、15分以内に心臓発作を引き起こさせることもある。
ノコギリヘビ、恐ろしい音を出す
ノコギリヘビは名前からして最も恐るべきヘビの一種だ。ノコギリヘビという名前は、捕食者が現れると警戒し、体のウロコをこすり合わせて「シューシュー」とノコギリで木をひくような音を出すことからつけられている。
これは捕食者から身を守るための自己防衛かもしれないが、ノコギリヘビは一般的に危険だと言われている。というのも、その毒は極めて強力で発作を引き起こすことがあるためだ。ノコギリヘビが襲ってくるのは、たいていの場合、日が暮れてヘビが狩りを始めた後だ。
水中でこっそり忍び寄るウミヘビ
毒を持つ陸ヘビよりも恐ろしいのは、泳いでいるときに忍び寄ってくるウミヘビだ。ウミヘビは東南アジア沿岸部や太平洋に生息している。ウミヘビは完全に水生で、尾はボートの櫂やオールのようで泳ぐのに適している。
ウミヘビは陸ヘビよりも猛毒を持つことがあるが、一般的にウミヘビに咬まれることは少なく、性質的にはおとなしい種類が多い。
ラッセルクサリヘビ、都市部でも見られる
この種のマムシはインドや東南アジアに生息しているが、恐ろしいヘビだと言われるのは、このヘビが都市部でも目撃されることがあるからだ。ラッセルクサリヘビは草むらや茂みの生息地を離れ、エサとなる小型哺乳類を追って都市部に入り込むことがある。ラッセルクサリヘビが捕食するおかげで都市部のネズミの数は減るだろうが、脅威を感じると、人間も襲う。
ラッセルクサリヘビは体長1.8メートル程度にまでなり、攻撃的な性格であることもあいまって、インドでは最も恐るべきヘビの一種とされている。
クロクビコブラ、すごい命中率
クロクビコブラはサハラ以南のアフリカに生息し、2.2メートルの長さにまで成長する。クロクビコブラの武器は、獲物めがけて毒を吐くことだ。なんとおよそ7メートル先の標的めがけて、正確に毒を命中させることができる。
幸いにも、この毒は皮膚に触れただけでは有害とまではいかないが、問題は、このヘビが目を狙ってくることだ。完全に毒が目に入ってしまった場合、失明に至ることもある。
タイコブラ、沼や湿地にひそむ
タイコブラは世界で最も美しいヘビの一種だが、その斑点模様をよく見ようとして近づき過ぎてはならない。フードには目立つ単眼鏡模様があり、茶色であったり、オレンジであったり、はたまた白い色をしている。
南アジアと東南アジアに生息するタイコブラは、沼や湿地にひそんで獲物を待つ。咬んだときに注入するその毒は強力で、1時間以内に人間を殺してしまうほどだ。
イースタン・ブラウン・スネーク、オーストラリアで最も恐るべきヘビの一種
イースタン・ブラウン・スネークは、何のひねりもない平凡な名前のヘビだが、世界で二番目に猛毒を持つヘビだ。オーストラリアに生息し、一般的にハイキングコースなど、人里離れた場所で目撃される。イースタン・ブラウン・スネークに咬まれてしまったならば、毒で血液がまたたく間に凝固してしまい、血流が止まる。
イースタン・ブラウン・スネークはオーストラリアの東部にだけしか生息しないにもかかわらず、同国でヘビに咬まれて死亡した人の60%が、このヘビによるものだということが分かっている。
パフアダー、アフリカで最も死者を出している毒ヘビ
パフアダーはモロッコ、西アラビア、アフリカ南部のサバンナや草原に生息している。アフリカではブラックマンバが最も恐れられているものの、実際にアフリカで最も死者を出しているのはこの毒ヘビだ。
この理由としては、パフアダーがかなり広範囲に生息していること、さらに人口の多い地域にも入りこんでいること、攻撃的な性格であることが挙げられる。幸い、パフアダーに咬まれたとしても、適切な処置を受ければ死に至ることはないため、咬まれたならすぐに助けを求めよう。
ナイリクタイパンは、タイパン同様、危険
タイパンがどれほど恐ろしいヘビか覚えているだろうか。このナイリクタイパンも、同じくらい恐ろしい。オーストラリアに生息するナイリクタイパンはタイパンと比べると小さいが、世界で最も強力な毒を持つと言われている。
ナイリクタイパンが咬みつくと、神経毒、マイコトキシン、血液毒が注入される。つまり、神経系、筋肉、血液に同時に影響する毒なのだ。ナイリクタイパンはそれほど大きくないかもしれないが、その毒は100人を殺せるほどだという。気をつけよう。
台湾コブラ、恐ろしいヘビだが絶滅危惧も危ぶまれる
台湾コブラは中くらいのサイズの黒いウロコを持つヘビだが、特徴的な明るい色の馬蹄型模様がフードに入っている。猛毒を持ち、ひとたび咬まれると、その毒による症状に数年間悩まされることもあるという。
この台湾コブラは中国南部と台湾に生息する。同地域では最も恐るべきヘビの一種ではあるが、絶滅の危機に瀕しており、保護を必要としている。
エジプトコブラ、神話にも登場するなど歴史は長い
エジプトコブラは恐るべきヘビの一種だが、エジプトでは昔から恐れられている。発掘されたツタンカーメンの黄金のマスクに装飾されていた蛇形記章のヘビはこのエジプトコブラであり、エジプト神話にも登場する。
現代のエジプトでは、たいていの人がエジプトコブラに積極的にかかわらず、その生態を尊重している。見つけたときには距離を保つことも重要だ。というのも、エジプトコブラには大きな牙があり、大量の毒を注入できるからだ。
アマガサヘビにご用心
アマガサヘビはタイワンアマガサとも呼ばれるが、体色は黒く白い横帯が入っているのが特徴的だ。成長すると体長1.3~1.8メートルほどにもなる。
アジアに生息するアマガサヘビは湿地を好むが、郊外や都市部で目撃されることもある。その食性は動物食で、魚や他のヘビ、カエル、ウナギ、ネズミなど齧歯動物を好む。世界で最も強力な毒を持つ陸ヘビの一種だ。
マツゲハブ、決して気をひこうとしているわけではない
中南米に生息する学名ボスリエチス・シュレゲリイは、一般的にマツゲハブと呼ばれている。様々な色の個体があるが、体色が明るく、目の周辺のまつ毛のように見える突起状のウロコが特徴的だ。
体色がきれいな色であることからも動物園などで展示されていることが多く、小さな鳥、トカゲ、カエル、齧歯動物などを捕食する。
ハララカ、日陰にひそむ
南米原産のハララカは、頻繁に人間を襲う毒ヘビだ。主にブラジル南部、アルゼンチン北部、パラグアイ北東部に生息している。このハララカという名前は、「大きなヘビ」を意味する2つのポルトガル語を組み合わせたものだ。
たいていの場合、サバンナのように開かれた場所でさえも植物の陰にひそんでいる。最大で1.6メートルほどになるものもあるが、一般的にはおよそ60cm弱の大きさだ。ハララカの毒はうっ血性心不全や高血圧の治療薬に使われている。
ニシグリーンマンバ、1匹で数人分の殺傷能力を持つ
西アフリカの熱帯雨林や森林地帯に生息するグリーンマンバは、日中に活動的になる。たいていの場合、木の上にいることが多く、コウモリや鳥、トカゲ、小型齧歯動物などを捕食する。
ニシグリーンマンバは世界で最も素早いヘビの一種であると言われているが、他のヘビと異なり、獲物を襲った後に、一旦引き下がる。その強力な毒で獲物が死んだ後に戻ってきて、その獲物を一飲みにする。
テルシオペロ、「究極のピットバイパー」と呼ばれる
テルシオペロはときに「究極のピットバイパー」と呼ばれるが、広く平らな頭部が特徴的だ。主に南米に生息するが、北はメキシコやコスタリカ、パナマといった大西洋沿岸の低地にも見られる。
テルシオペロは異なる色をした尾の先を使って、獲物をおびき寄せる。その毒は非常に強烈で、小さなトカゲからフクロネズミまで様々な小動物を捕食する。
フォレストコブラはインドコブラと似ている
フォレストコブラはインドコブラよりも危険性は少ないとはいえ、咬まれてしまうと成人男性でも緊急治療室行きへとなってしまうほどの猛毒を持っている。これは世界で最も大きなコブラの一種で、成長すると3メートルほどの大きさにもなる。
フォレストコブラはアフリカのサバンナや森林を好むが、様々な環境でも生息することが可能で、さらには泳ぐこともできる。そして、脅威を感じたときには、インドコブラと同じようにフードを開き、シューっと音をたてて威嚇する。
デュボアトゲオウミヘビ、サンゴ礁に生息
デュボアトゲオウミヘビはリーフ・シャロウ・シー・スネークとも呼ばれるが、海にひそむ毒ヘビだ。地球上のヘビの中で、このデュボアトゲオウミヘビは最も避けたいヘビの一種だろう。世界で最も強烈な猛毒上位3位に入るほどの毒を持つが、このウミヘビは咬んでも一度に注入する毒の量は多くない。
デュボアトゲオウミヘビはサンゴ礁のある海のおよそ90メートルの深さに生息し、ウナギやその他海底魚を捕食する。
ウェスタン・ブラウンは敏捷に動く
この平凡な「ウェスタン・ブラウン」という名前に騙されてはならない。オーストラリア原産のこのヘビは、非常に敏捷で、猛毒を持つ。他にも「グワーダル」とも呼ばれるが、これはアボリジニの言葉で「遠い回り道をする」という意味だ。なんだか、このヘビを避けるための深刻な警告であるかのようだ。
ウェスタン・ブラウンは成長するとおよそ1.8メートルにまでなり、オーストラリアに生息している。ネズミやトカゲのような小動物を捕食する。
タイガースネーク、オーストラリア原産の毒ヘビ
オーストラリアに生息するタイガースネークは攻撃的な性格で猛毒を持つが、人間に遭遇することは滅多にない。黄色と黒の横縞模様が特徴的だが、茶色や黒色、白色の個体もいる。
タイガースネークは過酷な環境であるタスマニアにも生息するため、極めて過酷な環境の中でも生存できる適応能力を持つと考えられている。成長したときの個体のサイズは、捕食する獲物のサイズによるという。
デスアダー、名は体を表す
デスアダーは世界で最も猛毒を持つ陸ヘビの一種であることから、こうした恐ろしい名前がついている。三角形の幅広い頭と、太い縞模様の体が特徴的だ。デスアダーは成長すると体長60~90cmほどになる。
デスアダーはオーストラリアの森や草原、林などに生息しているが、生息域は狭まりつつある。さらに成長前のデスアダーは天敵のオオヒキガエルに捕食されるが、そのオオヒキガエルの数が急速に増えていることから、対照的にデスアダーの数は減少している。面白いことに、成長したデスアダーはオオヒキガエルを捕食しようとするのだが、オオヒキガエルにもデスアダーを殺してしまうほどの毒がある。
アオハラクロヘビはオーストラリア原産の毒ヘビの中でも最も危険
アカハラクロヘビと勘違いしないでほしい。アオハラ種はかなり攻撃的で、獲物に襲いかかる前に特徴的な行動を見せる。このヘビが脅威を感じたときには、体をS字にして大きなシューという威嚇音を出す。
獲物に咬みついた後も、アオハラクロヘビは獲物を離すことなく咬み続ける。その毒は血液を凝固させるだけでなく、溶血素や神経毒、細胞毒素まで含まれている。この恐ろしいヘビはオーストラリアのクイーンズランド州南東部やニューサウスウェールズ州の北東部に生息する。
マルガスネーク、オーストラリアで二番目に長い毒ヘビ
マルガスネークはキング・ブラウン・スネークとも呼ばれるが、これもオーストラリア原産の恐ろしい毒ヘビだ。成長すると2~2.5メートルほどになり、その重さは3~6キログラムほどにもなる。個体によってはなんと、3.6メートルにもの大きさに成長する。
このヘビの持つ毒は獲物の横紋筋に作用し、麻痺を引き起こす。キング・ブラウン・スネークに咬まれたために死亡した事故が最後にあったのは1969年のことだ。このヘビに咬まれたときの治療に使う抗毒血清はクロヘビから作られている。
アフリカ最大の毒ヘビ、ガボンマムシ
ガボンマムシはアフリカ最大の毒ヘビであるが、成長すると体長1.8メートル、体重およそ20キログラムほどになる。中には、頭部だけで15センチもある個体もあるようだ。
体色が葉っぱに似ていることからカモフラージュを得意とし、小~中くらいのサイズの哺乳動物や鳥がこのヘビに気づかずに近づいてきたところを捕食する。人が咬まれたケースは大体の場合において、このヘビに気づかずに誤って踏んづけてしまったことによる。
猛烈な毒を持つ、ベルチャーウミヘビ
かすかな縞模様から「フェイント・バンデッド・シースネーク」とも呼ばれるベルチャーウミヘビは非常に強力な毒を持つ。このヘビに咬まれた人間は下肢、腹、肺の感覚を失い、最終的には窒息死する。世界で最も猛毒を持つヘビだと言われることもあるが、これは事実ではない。
幸い、このヘビはどちらかというと臆病で、怒らせない限りは攻撃してくることもない。ベルチャーウミヘビはアジアやオーストラリアの一部の地域に生息している。
卵ではなく生きている子どもを産む、スモール・アイド・スネーク
スモール・アイド・スネークもオーストラリア原産の毒ヘビだ。熱帯雨林やユーカリの森林に生息し、ほとんどのヘビ同様、夜行性だ。日中は岩の下や草木、樹皮に隠れている。
筋毒性の毒を持つが、これまでにこのヘビの毒で亡くなった人は1人だという。このヘビが捕食するのは小さめのヘビやトカゲ、トカゲの卵やカエルだ。他のヘビと異なる点は、生きている子どもを産むことだ。
オーストラリアのコッパーヘッドに要注意
オーストラリア・コッパーヘッドはアメリカのコッパーヘッドとは似ても似つかない。コブラ科に属するオーストラリア・コッパーヘッドは深みのある赤銅色から茶色や黄色、赤っぽい色まで様々だ。
このヘビの持つ神経毒は、咬まれた後の処置が遅いと人の命を簡単に奪ってしまう。オーストラリアではこのヘビに咬まれ、1人の死亡者と12人の負傷者が報告されている。たいていの場合、他のヘビやカエル、トカゲを捕食する。
コレット・スネークは世界で19番目に猛毒を持つヘビ
コレット・スネークは、ノルウェーの動物学者ロバート・コレットから名前をつけられている。同氏は成長前のコレット・スネークを見つけ、これまでに発見されたものとは異なる種だということを発表した。このオーストラリア原産のヘビはコレット・コブラとも、ダウンズ・タイガー・スネークとも、コレット・ブラック・スネークとも呼ばれている。
このヘビの毒は強力で、これまでにも多くの人が咬まれてケガをしているが、ペットとしても人気だ。コレット・スネークに咬まれると、腹痛、吐き気、嘔吐、酷い頭痛といった症状が出るという。正しい処置を行わなければ、急性腎不全をきたす。
イボウミヘビ、ウミヘビによる咬傷の半分以上はこのヘビによるもの
かぎ鼻ウミヘビやコモン・シースネーク、バラカディン・シースネークとしても知られているイボウミヘビは、インド太平洋地域に生息している。これはどんなことがあっても遭遇を避けたいヘビだ。というのも、致命傷となるものも含め、ウミヘビによる咬傷事故の半数以上がこのイボウミヘビによるものだからだ。
夜間だけでなく日中にも活動的なイボウミヘビは、5時間もの間水中にとどまることができ、深さ100メートルまで潜ることができる。
カスピコブラ、かなり攻撃的
カスピコブラとして主に知られている中央アジアのヘビの一種だが、中央アジアコブラ、ロシアコブラ、レイドル・スネーク、オクサスコブラとも呼ばれている。カスピコブラは比較的小さめのヘビで、平均して体長1メートルほどだ。乾燥した地域や半乾燥地域に生息している。
カスピコブラは人を避けようとするが、脅威を感じたときにはたとえ幼いヘビでも非常に攻撃的になる。ヒキガエルやカエル、齧歯動物、鳥や卵、時に魚を捕食する。
ヤマカガシ、毒を保有するが毒ヘビではない
毒ヘビと「毒を保有する」ヘビには違いがある。毒ヘビは獲物の体に毒を注入するために咬みつくが、毒を保有するヘビは他の動物に摂取されたときに毒となる。この毒を保有するヘビの種類は、そう多くない。
ヤマカガシはキールバック・スネークとも呼ばれるが、カエルなど捕食した動物から集めた毒を首にためている。ひとたび他の動物がヤマカガシを食べようとしたならば、その毒を捕食者の口に放出するのだ。